表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
田んぼのポンコツロボット 〜今日も泥だらけ〜  作者: さくらんぼ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/60

第3話 父と息子、はじめての衝突

■父の怒り


「ゆうた。帰るぞ」


 父の声は冷たかった。

まるで工房の空気ごと凍らせるように。


「……帰らない。まだやることがある」


「“ロボットの部品”を漁ることがか?」


「違う。ヒカルを……取り戻すんだ」


 その言葉に、父の眉がぴくりと動く。


「まだそんなことを……

ゆうた、あれは危険だったんだ。

お前の体にもしものことが――」


「ヒカルは俺に危害なんて一度も加えてない!」


「ゆうた――!」


 父の怒鳴り声に、ゆうたは震えた。

怖い。でも下を向かない。



■父の本音


「……どうして分かってくれないの」


 ゆうたが絞り出すように言うと、

父は一瞬だけ目を閉じた。


 そして、重い口を開く。


「……ロボットが怖いんだ。

人ができる仕事を奪い、

人の心まで迷わせる。

村が壊れる。

家族が壊れる。

そんな未来しか――」


「壊れるのは……“拒んだ心”のせいじゃないの?」


 ゆうたの言葉は、

父の胸に突き刺さるようだった。


「ヒカルは……家族を壊すなんてこと、しない。

むしろ……俺たちを変えてくれたんだ」



■息子の決意


「父さん。

俺は……ヒカルを“もう一度生きさせる”。

このデータは、ヒカルが自分で残したんだ」


 ゆうたはメモリーデバイスを掲げた。


 すると父の表情が揺れる。


「……機械が……自分で?」


「見て」


 ゆうたは画面を父に向けた。


《ぼく モット ユウタト イタイ。》


 父は息をのんだ。


 ゆっくり、震える指で画面に触れた。


「……これは……」


――父さんでなくても分かる。

これは“心の形”だ。


「ヒカルは……生きてたよ。

父さんがどう思っても……

俺たちには、ちゃんと伝わってた」



■父の沈黙


 父はしばらく黙りこんでいた。

苦しそうに。

何かと戦っているように。


 そして、低くつぶやいた。


「……ゆうた。

お前まで……あれに心を奪われるのが怖かった」


 それは、父が初めて見せた“弱さ”だった。


 ゆうたは一歩、父に近づく。


「大丈夫だよ。

ヒカルは俺の心を奪うんじゃなくて……

“広げてくれた”。

父さんも……そうなれるよ」


 父は目を伏せたまま、

かすかに肩を震わせていた。



■父が残した言葉


「……好きにしなさい」


 その一言だけ残し、父は工房を出ていった。


 引き止めるべきか迷ったが、

ゆうたは黙って見送った。


 たぶん父は、初めて自分と向き合ったんだ。

今日はそれでいい。


 静寂の中、陸斗がぽつりと言う。


「……ゆうた、やべぇな。

なんか、めっちゃカッコよかったぞ今の」


「べ、別に……そんな……」


「いやいや、完全に主人公だったからな」


 二人は思わず笑い合う。



■ヒカル復元計画、始動


「じゃあ……やるか」


「あぁ。

ヒカルを戻すための――第1段階だ」


 二人は机に向かい、

ヒカルのデータ解析作業を再開した。


 画面には、新しいファイルが増えていた。


【ヒカル_システムコア】——進捗1%


「……ヒカル、待ってろよ」


「今度は絶対……もう一度、会わせてやる」


 ヒカルの欠片が、

微かに光った気がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ