第2話 村が隠していたこと
ヒカル修理のため、ゆうたと陸斗は町へ行く準備を始めた。
その途中、父・正吾が珍しく険しい顔で声をかけてきた。
「……ゆうた。ちょっと来い」
家の裏手。
周囲に誰もいないことを確認してから、父は口をひらいた。
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■父の告白
「ヒカルが壊れた……。
あれは“ただの事故”じゃないんじゃないか?」
「え……?」
「昨日、役場から連絡があった。
村でロボットを快く思っていない連中が……
“あんな機械、田んぼの邪魔だ”
“村の誇りを壊す気か”
と、ずっと文句を言っていたそうだ」
「まさか……ヒカルを壊したのは、村の人なの?」
父は黙ったまま、拳を握りしめた。
「“ヒカルが勝手に転んだだけだ”と言われたが……
どうも、裏がありそうだ」
ゆうたの胸に怒りが燃える。
「ヒカルは……俺と家のために働いてただけなのに……!」
「……ゆうた。
気をつけろ。村は……お前が思ってるより、変わりたがらない」
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■陸斗が掴んだ証拠
「ゆうた!! これ見て!!」
陸斗がスマホを持って走ってくる。
「昨日の田んぼの近くにあった監視カメラ、映像取り出せた!」
「映ってたのか!?」
「ぼやけてるけど……人影がある。
ヒカルのすぐ後ろを歩いとる……しかも、“投げよる”」
画面を見たゆうたの心臓がドクンと跳ねた。
ヒカルの足元へ向かって、
――小石のようなものが投げられている。
「これ……わざとつまずかせたんじゃ……」
「多分、そうや。
ヒカルがバランス崩して、ゆうたの方へ倒れた……」
「犯人は……誰だよ……!」
陸斗は表情を曇らせる。
「そこが問題なんよ。
フードかぶっとるし、顔が映っとらん……」
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■村の“本音”が見える
そこへ、近所のおばあさんが歩いてきた。
「ゆうたちゃん……ヒカル、壊れたって聞いたよ」
「……はい」
おばあさんは目を伏せ、ぽつりと言った。
「正直に言うとね……
ヒカルのこと、よく思ってない人は多かったんだよ。
“田んぼをロボットに任せるなんて”って」
「……」
「だけどね……わたしは思うよ。
あの子は……人より、人間らしいよ。
泣きそうな声で“おはよう”って言ってくれたもの」
ゆうたの目が潤んだ。
ヒカルは――ちゃんと、誰かに届いていた。
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■もう1人の犯人?
「それとね……」
おばあさんは声を潜めた。
「昨日、田んぼの近くで……
“ヒカルなんて消えちまえ”って言ってる子を見たよ」
「子……?」
「子ども?」
「顔までは見えなかったけど……
あの声は……たぶん――」
名前を言おうとしたそのとき。
「――ゆうたくん!!!」
大声が響いた。
村長が、息を切らして走ってくる。
「大変だ!! ヒカルのことで……新しい証拠が見つかった!!」
「新しい……証拠!?」
村長は真っ青な顔で告げた。
「“石を投げた犯人”が……
どうやら、単独じゃなかった可能性がある……!」
「……え?」
「複数人で仕組んだ“計画的な妨害”かもしれん!!」
ゆうたも陸斗も、息をのむしかなかった。




