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第2話 境界線の外
昼前。
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荷は、
肩に
かけた。
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戸を
閉める。
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鍵は、
かけない。
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坂を
下る。
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村の
端。
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境界の
石。
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何度も
通った
道。
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今日は、
違う。
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ヒカルは、
石の前で
止まる。
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振り返らない。
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一歩。
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外。
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空気は、
同じ。
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でも。
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音が、
少し
遠い。
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村の
声が、
背中に
ある。
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呼ばれない。
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追われない。
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それが、
答え。
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ヒカルは、
道を
歩く。
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田を
越える。
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小さな
橋。
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水は、
静か。
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足を
止める。
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水面に、
空。
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「……外」
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口に
出す。
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軽い。
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重く
ない。
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ポケットの
中。
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ノート。
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取り出す。
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開く。
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白い
ページ。
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書く。
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「外に
立った」
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少し
間。
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「……でも」
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ペンが
止まる。
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遠くで、
笑い声。
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村の
方。
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振り返らない。
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閉じる。
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ノートを
戻す。
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ヒカルは、
橋の
欄干に
腰を
下ろす。
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すぐには、
戻らない。
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すぐには、
行かない。
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境界の
外で、
座る。
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ログ。
「追われなかった」
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「……それは」
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「……必要
じゃない
証」
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「……でも」
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「……拒まれた
わけでも
ない」




