第4章 泥だらけの日常 第1話 ヒカル、陸斗の畑へ 〜初めての“仕事”と、土の声〜
翌朝。
まだ村に朝靄が残る頃、ゆうたとヒカルは陸斗の家へ向かっていた。
「ヒカル、準備できてる?」
『ジュンビ……完了……デス。
任務……開始……シマス!』
「その“任務開始”は言わなくてもいいよ!」
『……了解……です』
少しだけ語尾が自然になってきて、
ゆうたはそれが妙にうれしかった。
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■陸斗の家の前
「おーい、ゆうたー、ヒカーる!」
陸斗が腕を振って走ってきた。
昨日よりちょっとだけ表情が明るい。
「来てくれたか」
『オハヨウ……ございます』
「お、おはよう……なんか昨日より喋り方よくなってね?」
『ヒカル……努力……しています……』
「努力すんなロボが」
「陸斗、そういう言い方やめてよ!」
「べつに悪口じゃねーよ、褒めてんだよ!」
陸斗は照れ隠しのようにそっぽを向いた。
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■陸斗の畑へ
陸斗の畑は、ゆうたの家よりも少し広い。
だけど確かに、ところどころ乾いて、土が割れ始めていた。
「ここらへん、水が通ってないっぽいんだけど……見てくれない?」
『ヒカル……解析……します』
ヒカルは地面にしゃがみこむ。
腕のライトがゆっくり点滅し、まるで土の中を透かし見ているようだ。
『……水……流レ……低下……原因……不明……』
「え、不明!?」
『イエ……再……解析……しま……す……』
ヒカルの声が少しだけ震えていた。
陸斗が心配そうに覗き込む。
「ダメか?」
『……いえ……。
ヒカル……わかって……きました……』
言葉が、少し滑らかになった。
『水路の……奥。
どこかで……“流れがせき止められている”ようです』
「やっぱり……!」
「ヒカル、どこが詰まってるの?」
『場所……特定……可能……デス。
ただ……ヒカル……単独デハ……難シイ……です。
ゆうた……リクト……協力……お願い……します』
その声は、確かに“お願いする”人間の声だった。
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■3人で歩き出す
「よし、じゃあ水路の奥まで行ってみよ!」
「おう!」
『ヒカル……全力で……サポート……します』
3人が並んで歩き出した瞬間――
ヒカルの胸のライトが
今までで一番、あたたかい色に光った。
その光はまるで、
“仲間ができた”ことに喜んでいるみたいだった。




