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祝日組寮のアルカナ  作者: よつば ねねね
5章「秋組の妖精」
52/67

52話「シーザー、死す?」

「あの…ごめんなさい…私…」


生徒に言われて来てみると、秋組寮の入り口でナラク様におぶられているシーザーお兄様と半泣き状態のエリがいた。


「ナラク様!?…えと、どういう状況ですか!?」


「…エリを見たらシーザーが倒れた」


「はい!?」


「あー…ちょっと別の部屋で話せる?」


ーーーー


私の部屋でシーザーお兄様を寝かせると、

ナラク様はため息交じりに話し出す。


「俺が今日会う予定だった友達ってのが

 どうやらシーザー先輩だったらしい」


「ああ、そうだったのか!

友人に会うとは聞いていたが」


「それで、アリス大好きなフユカイザー…

 シーザー先輩にエリのコスプレを見せたら喜ぶと思ったんだけど

見せたら…えっと…、見た途端泡吹いて倒れたの!

 医務室に運んでも原因不明だっていうから

 家に送り届けようと思って身分証見たら、住所が」


「ここだったんだな!」


「そゆこと」


「ご、ごめん…なんだか良く分からないけどこんな事になるなんて…!

 もう2度とコスプレなんかしないから目を覚まして!」


「まてまて、それは困るぞルハート!君はこれからもコスプレするべきだ!」


「あんたさらっと何言ってるギョ」


「ん…」


シーザーお兄様が目を覚ましたようだ。

彼は小さく唸りながらそっと瞼を開ける。


「シーザーお兄様…!大丈夫ですか?」


「あれ…俺は何を…なんでクレアがいるの?

 うわっ…びっくりした!何だその着ぐるみ!」


「おいらは塙!よろしくだギョ!」


「ええ…よ、よろしく…?」


「シーザー、出先で気を失ったそうだが大丈夫か?」


「え?何だって春先でそんな事に…はっ」


周りを見渡したシーザーお兄様はエリの方を見るなり顔を青くする。


「来るな!ルハート…!お前何のつもりだ!」


「え?な、なんのって…何?」


「着替えてないじゃないか!それ衣装の上からパーカー着ただけだろ!

脱げ!今すぐジャージかなんかに着替えろ!」


「おいユカイザー!女子相手に脱げは無いだろ!エリ可愛いじゃんか!」


「可愛いのが問題なんだよ!もす子…いやナラク・モスコミュール!

 よくもやってくれたな!友達だと思ってたのに!」


「はあ!?何もしてないし!」


「君は4年間追い続けた推しが目の前に3Dプリントアウトされたオタクがどうなるか解らないのか!?

普通は心臓が破裂して倒れるんだよ!」


「そうはならねえよ!お前の感受性の問題だろ!」


「あの…とにかくコスプレが嫌だった訳じゃないんだね?良かった」


「どういう解釈したらそうなるんだ

あ、あんまり見ないでくれ」


「なんなんだよ」


「エリ=ルハート…初めて君を水族館で見た時から

 俺の学園生活を脅かすなら君だと思っていたさ…」


一瞬目を疑ったよ


(あれ!?アリスが3次元にいる?おかしいな)


それで冷静になって名前を聞いたら

エリだって言うから…

激似なだけか…と一旦安心したんだけど


「イベントでコスチュームを着て現れるとは思わなかった…!

 俺はイケメンで!寮長で!頼れる兄で!

 とにかくキツめのオタクだってことだけはバレちゃいけなかったのに…!」


「つまり彼はエリが推し?って方に似ていて、

 見るとドキドキするから寄るなって仰ってるんですか?」


理解に苦しんだ私が冷静に尋ねると、

「まあ、そういうことなんだろうな」

と困惑しながらナラク様が答える。


「お兄様…なんて醜態…」


「おい醜態はやめろ、傷つく」


「ねえねえ何々~?呼ばれて来てみれば面白そうな状況~」


「あわわ…」


ナラク様が呼んだのであろう、遊助様のチームがやって来た。

遊助様はにやにやと不気味な笑みを浮かべている。


「シーザー先輩エリが可愛すぎて倒れちゃったんだって~?

 いっつもあんなすかしてる王子様の弱点がまさかのエリだったとはね!

 女子が知ったらどんな反応するかなあ!」


「ちょっとやめなよ遊助!」


「えい!」


遊助様がエリのフードを取ると


「う、うわあああああああああ!」


と言いながらお兄様が後ろに飛ぶ。


「それ自分でやってんの?」


ロゼ先生が見た未来って恐らくこれだろうな…全く人騒がせな

でも…これかなり…!


「あははは!面白ーい!

 あの!イケメン王子様が!?実はオタクで

 コスプレ見て倒れちゃう人だったなんてびっくりだね!

 決めた!エリもこの調査に参加しようよ!先輩喜ぶよ~?」


「なんだかよく解らないけど…茶化しちゃダメだわ!何か真剣?に困ってるみたいよ」


「真剣かよあんなもん!シーザー先輩解ってるよね?

 ここに帰って来たからには絶対ち調査に付き合ってもらうから!」


「解ってる…!解ってるからルハートの格好を何とかしてくれ!」


「仕方ないギョね、おいらの頭をエリちゃんに…

 いててででで!」


塙様が頭を取ろうとすると急に悲鳴をあげながら彼は床に倒れ込む。


「うおっ…!?なんだよ急に大声出して!」


「この子、アシュリーに『管理』されててヘマすると電流でお仕置きされるっぽいんだ」


「へえ…なんかエロいなそれ」


「高度過ぎるだろそれは」


「今日の所は皆解散、

 シーザー先輩だけ後で僕の部屋に来て!」


「男の部屋にわざわざ出向くのか…気が乗らないな」


「じゃあエリにお茶汲みさせるからさ」


「はぁ!?」


「……行く…」


「ねーねー遊助先輩、さっきまであの人何とかしてくれとか言ってたのに

 何で部屋でお話しするのはいいのお?」

ミモザが無邪気に尋ねたので


「男なんてあんなもんなんだ」

と言って僕は彼女の頭を撫でたのだった。


ーーーーーーーー


先輩たちを部屋に集め、

一同は僕の借りている部屋にあるローテーブルを囲む。


「私達がいない間にそんな事になってたのね?」


マリー先輩が不貞腐れながら言った。


エリが顔を赤らめながらお茶を汲み、

あまり見ないようにしながらシーザー先輩がぎこちない動きでそれを飲む。


「ねー、それって意味あるの?見ないと連れてきた意味ないじゃん!」


「横目でチラチラ見えるからいいんだ!

 あと…ちょっとリコリスの香りがするのも…

 原作再現だよな?やばい…アリスが隣にいる…!」

彼はそう言って顔を覆い隠す。


「キモいわよシーザー…いやほんとに」


「言ってやるなよ、好きなアイドルが隣にいるとか

 感覚的にはそんな感じなんでしょ

 …二人とエリを呼んだのは他でもない、

 実は今回の件と関係あるか解らないんだけど

 面白い噂を聞いたんだ」


「噂?」


「今日の23時…今から3時間後くらいに

 音楽室で『妖精』が夜会を開くという情報が入った」


「妖精?夜会?話が飛躍しててついて行けないが」


「まあ要するに変な生徒が怪しい会を夜に開いてるって事!

 そもそも何で寮長が知らないんだよ」


「夜は…アリスの相手をするのに忙しいんだ」


「真顔で言う事じゃないだろ!

 …はあ、いつか謀反とか起こされても知らないよー?」


「それで…えっと、行くの?このメンバーで」

エリがおずおずと尋ねる。


「うん!行こうかなって思ってる!

 元々マリー先輩は妖精に会いたがってたし…

 シーザー先輩は洗脳系の能力対策に良いかなって

 エリはなんか連れてきちゃったから一緒に行こう」


「ついでじゃん!やな感じ」


「シーザーが行ったら目立たない?変装しても身長があるし」


「例のやつがあれば大丈夫でしょ?」


僕がマリー先輩に言うと、彼女は悪い笑顔を浮かべた。


「はいはい、これね」


そう言ってマリー先輩は鞄から薬を取り出す。

やっぱり持ってたか、予備!


マリー先輩に「飲みなさい」と言いながらシーザー先輩は薬を受け取る。


「えっと…これってどう言う…?」


「いいから飲むのよ、じゃないと抗議も打ち切りよ?」


抗議…?何の事だろう?僕が不思議に思っていると、彼は青い顔をして

「解った飲むよ!」

と言い、薬を煽る。


みるみる彼の体は小さくなり、サーシャ君の姿そっくりに変わったのだった。


「変身薬…!?おいマリー!材料()()じゃないよな…!?」


「髪!そもそも()()ってどうやって用意するのよ…!

 解ってると思うけど髪が材料だと効果薄いから解除魔法とか…

 あ、そっか跳ね返すんだっけ」


()()って何?」

エリが訪ねると二人は下を向いて青ざめながら目を逸らす。


「あー…まあまあエリ、そのうち習うんだよきっと!

 23時になったら皆で音楽室まで行くぞ!

 それまでまあ…エリ、膝枕でもしてやったら?」


「見た目が可愛くなったしまあいいけど…また倒れそうだからなあ」


「じゃあほら目隠ししたらいいじゃん」


僕はネクタイを取るとサーシャに扮したシーザー先輩の目を覆う。

シーザー先輩は促されるがままエリの膝に頭を乗せると、一筋の涙を流した。


「シャングリラ…!」


震えた声で言うサーシャにエリは恐怖の表情を浮かべ、

「ねえ…この可愛さでも若干無理あるくらい気持ち悪いかも…」

と訴えかける。


「我慢しろって」


僕は笑いを堪えながら言うのだった。

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― 新着の感想 ―
不穏なタイトルからの尊死に笑った。そして安心しました 幼少期のクレア目線で出てくる過去のシーザーは毎回かっこいいのに、現在の彼はツッコミどころしか無くて面白いです 先生との話の中でシーザーは悩みを抱…
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