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祝日組寮のアルカナ  作者: よつば ねねね
4章「1年交流会」
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43話「時間遡行」

「皆大丈夫!?」

カイ先輩の声に全員はっとするも、何が起こったのか分からず硬直している。


「良かった…皆無事……だけど

あれ?何でガフ先生投げられてないの…?」


サーシャが疑問を口にすると、


「ブルームの能力だよ」

とヴィル先生が答える。


「うわ!ヴィル先生いつからそこに!」


「ずっといたけど」


本当か!?気配も何もしなかったけど…


「カイ=ブルームは時間を巻き戻す能力を持っている…

それは空間を無視した個にも使えるし、

空間ごとにも使える

今使ったのは空間ごとの巻き戻しだね

ほら、その証拠に」


「あ、シーザー先輩がトマトスープを被って地に伏している」


「彼だけ時間の干渉を受けられずああなったのさ」


「惨めな…」


しかし時間遡行なんてとんでもない能力だな…そんなの漫画に出てくるラスボスとかが持ってる能力じゃないか!

マティーニ先輩が最強って聞いてたけど本当に最強なのはこの人じゃ…!


「っ…!」


突如、カイ先輩が苦しそうに膝を付く。


「カイ様!大丈夫ですか!?」

クレアが心配そうに駆け寄ると、


「ごめん…この能力は消耗が激しくて…

大丈夫だよ、少し疲れただけ」

と言って彼は力なく笑った。


「ご、ごめんなさい!私背後を取られるのが苦手で…!ご迷惑をおかけして、ごめんなさい!ごめんなさいぃ!」


あまねちゃんはそう言いながら高速でペコペコと頭を下げる。


「いやいや!迂闊に話しかけた私も悪かった!料理が無事で何よりだよ

しかしカイ君、君も懲りないな

いつも不用意に能力を使うなと言って居るだろう?」


ガフ先生はそう言いながらカイ先輩に歩み寄ると、彼の顎を引き寄せる。

カイ先輩は「すみませんガフ先生」と言ってヘラヘラと笑っていた。


「何かあの2人距離近くない?」


僕が周りに聞こえないくらいの声でマリー先輩に耳打ちすると、


「…カイとガフ先生は別の寮だけど研究室が同じなの

それにしたって仲が良さそうなのは…まあそうね」

彼女は顔を顰めながら酷い有様のシーザー先輩の元に歩いていき、


「シーザー、洗ってあげるから自分で立ちなさい」

と不機嫌に言い放った。


ガフ先生に割り込む様な形でヴィル先生が

「カイ君、医務室に連れて行こう

一応魔力切れしてないか確認しないと」

と言って彼を立ち上がらせる。


「魔力切れ…?」

サーシャ君が首を傾げ呟く。


「魔力って魔力を餌にして増えていくから、魔力を使い過ぎるとその大元ごと無くなっちゃって魔法が一生涯使えなくなるんだよ」


僕が教えてやると、彼は

「ええ!?」と言いながら目を丸くした。

しかし成程、あれだけ消耗が激しければ万能な能力とは言い難いな、

少なくとも戦闘に使うのは難しそうだ。


カイ先輩とヴィル先生が医療へ消えて行くのをクレアが心配そうに見つめている。

隠れていたりしたから苦手なのかと思っていたが、そういう訳でも無さそうだ。


「…」


「彼が心配?クレア王女」


メアさんがそんなクレアを見かねてか、背後から声をかける。


「わっ…えっと…メアさん?」


「まあ多分大丈夫だよ、魔力切れ起こした人ってもっと憔悴するから」


恐らくフォローをしてくれているのだろう、

マリー先輩と違って優しい人なのかもしれないな。


「あ、あの…私もそう思います…

寮長、いつもあのくらい疲れてますから」


あまねちゃんもそれに続く。


「そういう事!

王女様は料理に戻った方がいいんじゃない?」


「はい…」


メアさんに促されてクレアが作業に戻ると、


「ねえ、どう思う?」


メアさんがあまねちゃんにそう投げかける。


「ひゅえ…?何がですか…?」


あまねちゃんが首を傾げながら返すと、


「クレア王女のあの感じ、なんかそちらの寮長をやけに気にかけてるじゃん!

婚約者がいるのに昔の男が忘れられなくて…♡禁断の恋♡

みたいな事だったらどうする!?」

メアさんは楽しそうに自分の妄想をあまねちゃんに披露した。


「…」


「ぐぇ、何そのゴミを見るような目は!」


「いやあの…そんなつもりは…

まあでも野暮だとは思いますよ

…明らかに岸辺君は本命じゃないですし」


「もー、何その淡白な返し!恋バナのしがいもないんだからー!」


女子ってそういう話題好きだよな…

おっとまずい、こっち見た!

あまねちゃんに聞いてたのバレたかも


やっぱり彼女、おどおどしてる様でいて感覚の鋭い人みたいだ、

…間違っても背後から迂闊に声を掛けたりするのはやめておこう。


ーーー


「できたー!」


カイ先輩が医療棟に向かってから数十分後、無事に全ての料理が完成した。


「良かった、無事に完成して…」


サーシャ君も流石に疲れた様で、ほっと胸を撫で下ろしていた。


「ねぇガフ先生、この後これどうするの?」

僕が問うと、


「さあ…?」

と言って彼女は首を横に振る。


「さあ!?」


「私は何も聞かされていないからね

…物の移動とかはヴィルヘルム君の方が得意だし」


「んな無責任な」


呆れていると、

「困ってる?」

と言う言葉と共にヴィル先生がどこからともなく現れた。


「うわ!だから急に出てくるなって!」


「ごめん、何かそろそろ困ってる頃かなと思って」


彼は頭を掻きながら悪びれもせず答える。


「あの、カイ様は…」


「無事だよ、特に何にもなし

ただ今日は早退するらしいから

あとの事はブラドーに任せるって」


「発表だけならメアがいれば十分よ、そうでしょ?」


「勿論!」


赤チームはよっぽど自信があるらしい、

気合い十分といった様子だ。

その様子を見てヴィル先生が満足気に頷くと、


「よし、じゃあ料理ごと皆の事運んじゃおうか」


と言ってガフ先生を見た。


「運ぶ?」


「なにあんた、そんな事も知らないわけ?

ヴィルヘルム・テイラーの能力はね、

闇と闇を行き来して…」


ガフ先生が魔法で巨大なパラシュートを空に打ち上げると、

その影の中にいた生徒や物はそのままに、周りの風景だけが切り替わる。


ここは…以前覆面パーティをやっていた春組のホールじゃないか!


「自分や周りの物を転移させる能力なの」

マリー先輩は周りの風景が切り替わった事にも動じず、淡々と説明する。


だからあの先生いつも急に現れてたのか…!


「サポートありがとう、ガフ先生」


「いやいいよ、君の固有魔法は相変わらず便利だねぇ」


「それ程でもないさ

さあ皆、成果物を出して」


「ケホ…」


「大丈夫かいルー二…風邪?」


「だ、大丈夫です」


ヴィル先生の指示通り料理を並べていると、

「あれ、奇遇だね!君たちも完成させたとこ!?」


フラン先生と青チームの面々がご機嫌にホールに入ってきた。

アシュリーとブルショットさんが押しているキャスター付きの台座には、布のかかった人ぐらいの大きさの何かが置かれていた。


「やあ、君たち大分大掛かりなのを作ったみたいだね

…そういえばさっきから気になってたんだけど…リッキーは今どこにいるの?」


「あのものぐさ教師ならお茶飲んでから合流するとか言ってたからまだ冬組にいると思うわよ」


「…はあ…迎えに行くか」


「貴方もいい加減あの男のアシになるのやめた方がいいですよ、甘いんですから…」


「仕方ないだろ、この企画自体彼の担当だからリッキーが居ないと進行出来ないんだよ」


ああ情けない…他寮の先生に迷惑かけちゃってリカルド先生ったら…


「岸部君、一応頼まれてたの持って来ましたけど」


アシュリーが僕に小声で言う。

さすが仕事の出来る女!


「ああアシュリー!ありがとう!後で受けとっ」


僕が言切る前に彼女は指で僕の口を塞ぐと、

「…解ってますよね?

タダじゃあげられません

岸部君がこんな物の為にどこまでしてくれるのか楽しみにしてますから」


そう不機嫌に言い放った。


「な、何か怒ってる?」


「別に」


嘘だ!拗ねてるじゃないか!

まあ急に髪を取ってこいなんて言われたら気持ち悪いだろうし仕方ない

一体後で何させられるんだろう…嫌だなあ。

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