28話「ジョーイ」
「一通り聞いたけどみんな似た様な事言うね」
僕たち3人は西棟の調査を一通り終えたが、特に収穫も無いまま
だらだらと廊下を歩いていた。
「うーん困ったな…これじゃ聞き込みの意味ないかも…」
レイがそう言って伸びをする。
「残るは南棟の捜査ですね
私は毎日あの場所を見て回っていますが変な所など無いように思えます」
「そう言えばさ…気になる事があるんだけど」
「何?」
「一番最初に被害に遭った人間って誰なんだろう?
被害を訴える人間がいなければここまで噂になったりしないだろ?」
「ああ…それは
サーフボード部1年の『ジョーイ』だと思うよ
そもそも最初に私たちに助けを求めたのもあの子だし」
「その子、今何してる?」
「…あー」
「いやほおおおおおお!
ダンク行っちゃうぜ!?ダンク行っちゃうぜ!?
外したあああああああああああああああ!」
うわあ…
案内された先の教室では、テンションの高い生徒に煽られながら「ジョーイ」が机の上に立ち、
紙コップにピンポン玉を入れようと奮闘していた。
「ちょっとあの子のテンション?付いて行けない時があってさ」
「まあわかるよ…僕も話しかけたくないもん」
「私もあの中には入って行きたくはありませんが仕方ないですね
一応同じ授業を取っていて面識があるのでまずは私が行きましょう」
この中で確実に一番彼と合わないであろうアシュリーさんが前に出ると
「ジョーイ君!ちょっといいかな?今友達が困ってて…助けて欲しいんだけど」
と、まるでクラスのマドンナのような爽やかな雰囲気でジョーイに話しかける。
彼女のうつろな目には生気が宿り、まるで別人の様だった。
「誰!?」
「メイド状態のテンションだと日常生活で浮くから普段はあんな感じで人と関わってるんだって」
「別人じゃん…」
「アシュりんこー!今日も可愛さカンストしてんね!誰々友達ってぇ~?
あ?なんだあ?お前クズ虫って呼ばれてる岸辺じゃん…」
「どうもー…?」
「おっしゃめっちゃ話してみたかったんだよなーーー!
お前さ、どうやってそんな存在バズらせたん?
いいなあ俺も目立ちてえよ!」
わ…悪い人じゃなさそう?
「ああ、人魚の話なあ
なんか話に尾ひれ付いちまってるよなー、人魚だけに?」
「尾ひれ?」
「おう!俺見てねえからさ、人魚なんて!」
「え!?」
「俺が夜こっそりサーフィンの練習しに行ったらよ…
変な歌声が聞こえてきて…
海の中入ったとこで記憶消えたんだよな」
「目覚めたのはどこだった?」
「えっと…あっちの沖」
「大分離れてるね?」
「そうなんだよな 皆は砂浜で目が覚めたっつってんのにさ
俺だけ大分流されたっぽいのよねー
あ!でも人魚の代わりにすげえでかい鳥を…見た気がする」
「…なるほど
いい話が聞けたよ!ありがとうジョーイ君!」
「おう!ならよかった!じゃあ俺もコップダンクに戻るわ」
「…さっきので何か解ったんですか?」
「いいや?最後に一人話を聞きたい人がいるんだけど…いいかな?」
ーーーーーーーーーー
「あーん!シーザー先輩こっち来てー!」
「今行くよ天使たち!」
…
「何で二階を捜索してたのにプールで遊んでるのよ!」
私の叫びが虚しくプールに響く。
女子達にプールに誘われたシーザー先輩を追いかけてたらいつの間にかこんなとこに!
ほんっと信じられない!
「落ち着けルハート…私も何だか解らん内ではあるが
シーザーがここに行きたいと言った以上止められんのだ」
「もー!もふもふ先輩シーザー先輩に甘い!」
「すまん」
大勢の女子達がわざと私に体を少し当ててからシーザー先輩の元へ駆け寄っていく。
「いたっ…またぶつかられた!この寮本当に女子多くない!?
祝日組寮と人口違い過ぎでしょ!」
「確かに…いくらなんでも多すぎる
他寮の女生徒も混ざっているのではないだろうか
…しかし…なんだか妙だ」
「何が?」
「いや…彼女たちの何人かが同じ顔に見えてな」
「おじさんみたいなこと言うね
でも確かに、ああも濃い化粧されちゃうと似てるようにも見えるかな?
皆スタイルいいし…へぶ!」
エリの顔面に女子がレシーブしたボールが当たる。
「あっ!ごめんなさい!低い鼻がまた低くなっちゃうかも…!」
「やだぁー!そんな事言ったら可哀そうだよ~」
私のイライラはとうとう頭のてっぺんにまで達し、
顔に張り付いたボールを勢い良く投げると
「だー!やってられるか!私ビーチに行く!溺れてもここにいるよりマシなんだから!」
と言ってプールを出た。
「私も行こう、貴様一人じゃ危険だ」
「あ、ありがと!」




