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祝日組寮のアルカナ  作者: よつば ねねね
3章「夏組親睦会」
23/67

23話「気になる二人」

次の日の朝、アシュリーさんは僕の部屋を出たすぐ側で腕を組んで立っていた。


「びっくりした!もしかしてずっといたの?」


「悪いですか?」


「いや…レイのとこにいなくてもいいのかなって」


「レイ様は二年生ですので二年生の朝会に向かわれました、一年の私は参加できないので同行していません」


「2年生!?そうだったの!?」


「やっぱり知らなかったんですね…レイ、レイって馴れ馴れしいなとは思ってましたけど

 ヴィルヘルム先生の許可が出た例のやつ

 寮長殿やレイ様にも話さなくてはならないでしょう?

 しかし昨日見ての通りレイ様はあの教師が大変苦手ですので体のいい動機を今から考えますよ」


「は、はあ…僕と君で?」


「勿論そんなわけはありません」


「あ!いたいた!岸辺にアシュ子!」


「マリー先輩!?」


僕たちに駆け寄ってきたのは確かにマリー先輩だった。

朝会がある筈なのに何で彼女がいるんだ?


「私がお呼びしたんですよ

 寮長への話は寮長クラスの方がした方がいいですから」


「待て待て!マリー先輩も二年生でしょ!なんでここに」


「野暮ねー、サボりよサボり

 大丈夫、私のサボりは絶対にバレないから」


「さ、岸辺さんの部屋で作戦会議です、行きますよ」


アシュリーさんはそう言うなり僕の服の裾を引っ張って無理矢理僕の部屋に押し入った。


「あ!ちょっと勝手に入らないで!」


「エロ本あるかしらー」


マリー先輩もそう言ってなんの躊躇いもなく入る。


他寮の女子ってこんな押しが強いのか!?


ーーー


「おはよ!クレア!遊助見なかった?」


朝の食堂でエリは元気よくクレアに尋ねる。

昨日、結局全員で夏組を周れたものの

遊助とだけあまり交流がなかったエリは

「今日は遊助に一日中付き合ってもらおう」と考えていたのだった。


「見ておりませんね、まだ朝食を済ませてないんじゃないかしら」


「もー、もしかしてまだ寝てるのかな?

 しょうがないから私が起こしにいってあげよ!」


「大丈夫ですか?殿方の部屋に押しかけたりして…」


「え?なんで?大丈夫に決まってるじゃん!

 クレアも来る?」


「わ、私は結構です」


「はよ、あれ…遊助はまだ起きて来てない感じ?」


「そうなんだ、だから今から起こしに行ってくる!」


「起こしにって…他寮であんまりはしゃぐなよ」


「はしゃいでないもん!じゃあまたね!」


エリは2人に手を振ると、

駆け足で食堂から出て行った。


「エリってさ、どっちなんだと思う?」


残されたナラクが気怠げにクレアに問う。


「どっちとは?」


「遊助の事好きなんかなって事!」


「へぁ!?まさか!」


「でもわざわざ起こしに行くかね普通

 俺でもやんないよ?

 もしかするともしかしたりして」


「そう言えばこの前屋上に呼び出して何やら秘密の話を…!」


「なんだ、あるんじゃんそういう話!

 まあ本人達が楽しそうならいいかもね

 そんじゃ俺飯食うから、じゃあな」


「あ!私もこれから食べる所だったんです

 その後プラネタリウムなる所に寄って、

 昨日と違う味のかき氷を食べる予定でした!

 ナラク様も勿論行きますよね!」


「はい!?」


あ、王女だ!


隣にいるあの男誰?


「いやその…俺は…」


ナラク少年は「あんたと一緒にいると目立つから嫌だ」という言葉を咄嗟に飲み込んだ

つい先週決着がついたばかりなのに

また彼女を跳ね除けるのは酷だと思い


「い、いいよ…」


とひきつった笑顔で返した。


ーーーーーー


時を同じくして、

遊助はマリーとアシュリーに挟まれていた。


「ねえ、ここってお茶のケータリング無いの?女子の部屋にはあったんだけど」


「多分そこの棚に入ってると思いますよ」


何だこの状況は…


「それで、どう話をつけますか?

 下手な理由ではきっと寮長殿も納得しませんよ」


「ティナは真面目だからねー、点数稼ぎを理由にするのはどうかしら?」


「点数?」


僕が訪ねるとマリー先輩はやれやれと言った様子で


「知らないの?年末に寮ごとの点数を競って、一番得点の高かった寮には報酬が

 逆に低かった寮には罰があるのよ」


と言った。


「この学校は今年度から始まったんじゃないの?」


「去年の夏から寮自体は開いていたので

 去年も寮ごとの点数も競ったんですよ

 …うちが最下位でしたけど…」


「祝日組寮じゃなかったの!?」


「1年が王女様以外問題児なだけで祝日組寮はエリートの集まりなのよ

 授業には出ないけどあんたのとこのナラクも天才っちゃ天才だしね」


「そうだったんだ…」


「なら、点数稼ぎの為に人魚討伐に協力したいと申し出るのが無難でいいですね」


「じゃあこの話は一旦終わりにして…

 ねえ岸辺、あんたの固有の話を聞かせてよ」


「僕の?」


「あんたの固有って凄くレアな物らしいじゃない?

 私凄く興味があるのよねー!

 今見せてよ!ほらほら!」


「な、何なんですか急に!嫌です!」


「マリー寮長の固有魔法って確か

 『魔法を式に直す』能力ですよね

 それを応用して機械に組み込んでは荒稼ぎしているんだとか…」


「僕の能力で稼ごうとしないで下さい!」


「ッチ!何よ!ちょっと見るだけだって言ってるでしょ!式には治さないわよ!

 だからほら、ちょっとだけ見せて!」


そう言ってマリー先輩は僕に覆いかぶさるような形で腕を掴む。


「うわ!何するんですか!」


「なんか剣出すときこうやって手を合わせてたかなって」


「マリー寮長殿、それ以上は…あっ」


止めに入ったアシュリーさんが何もない場所に躓き、バランスを崩して倒れ込んだ。


ーーー


「遊助ー!起こしに来たよー!

 もう朝だから起きて来なよ!

 もしもーし!」


エリが遊助の部屋のドアをノックする。

中からは微かに誰かの声が聞こえていた。


「いないのかな?でも中から声がするし…あ、鍵空いてる…入るよ?」


エリがそう言って扉を開けると、そこには遊助に馬乗りになったマリーと

何故か遊助の下敷きになって動けなくなったアシュリーがいた。


「サイテー…」


ゴミを見るような目でエリが扉を閉めようとすると


「違うんだよ助けて!」


と遊助の悲痛な叫びが部屋に響いた。

エリは深いため息を吐くと、遊助を救出してやることにしたのだった。

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