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祝日組寮のアルカナ  作者: よつば ねねね
3章「夏組親睦会」
20/67

20話「夏組寮の人魚」

レイと遊助がプールにいた頃、


「へえ、祝日組寮の設備ってそんなにしょぼいのね」


「何にもないに等しいしちょっと電力使ったらすぐおじゃん」


ナラクとマリーはまだ食堂で話し合っていた。


「私だったらそんな環境耐えられないわ

 転寮とかしないの?」


「うーん…視野に入れてるんだけど…」


「あ!いた!ナラク!」


2人が寮の事について話していると、エリとクレアがナラクに駆け寄る。


「エリとクレアか、どうした?」


「はあーん!クレア王女様ー!なんて麗しいのかしら!」


「ど、どうも…」


「どうしたじゃないでしょ!皆で周ろうって話してたじゃん!」


「俺の事はいいから皆で周りなよ」


「ナラクも行くの!」


「ええ!?おい引っ張るな!マリー先輩すんません!また話しましょう!」


「あ?え、ええ

 王女様殿下ー!今度またゆっくり話しましょうねー!」


ナラクは引きずられながらマリーに手を振った。


ーーー


「さて!残るは遊助だね!どこだどこだー?」


エリはそう言って色々な部屋を覗き込む。


「エリ、何か機嫌良くね?」


「そうですか?いつもこのくらい元気だと思いますけど…」


「ここか!」


エリがそう言って扉を開けると、部屋から出ようとしていた人物と衝突する。


「いて」


「何やってるのだ貴様は」


扉の奥の少年は、転びそうになるエリの腕を掴み離す。


「あーーーー!もふもふ先輩!」


その少年は全員が見覚えのある人物、マティーニだった


「もふもふ先輩と呼ぶな無礼者!学校中どころかインターネットの影響で世界中に私の秘密が知られてしまったが関係ない!

 私の耳を馬鹿にするものは能力の餌食にするぞ!」


「馬鹿にしてないよ、先輩の耳可愛いってピンスタでバズってたし!」


「それがバカにしてると言うのだ!」


「マティーニ様…えっと」


「ああクレアちゃん!君も一緒だったんだね!

 夏組の観光は楽しめているだろうか?」


「楽しめておりますとも!ただその…遊助様を見失ってしまいまして

 マティーニ様、見かけておりませんか?」


「知らんな、あんな奴とすれ違えば忘れもしないだろうから

 反対側の棟でも見てるんじゃないか?」


「反対側って…プールとかあるとこだっけか」


「行ってみよ!」


「待て、僕も行く!クレアちゃんを放っておいて女優なぞに鼻の下を伸ばしていたあいつに喝を入れてやらねば」


「確かに伸びてたな、床につきそうなぐらいには」


全員でプールの方面を目指し歩いて行くと、

プールのある南棟の入り口が閉鎖されていた。


「あれ?ここは入れないみたいだよ?」


エリが言うと


「人魚が出ますので、今は寮生でも立ち入り禁止なのです」


と全員の背後から聞き覚えの無い声がする。


「はえ!?」


全員が驚いて振り返ると、赤みを帯びた茶髪の少女が立っていた。


「いつから居たのだ貴様…!この私が気付かなかった等ありえん!」


「ついさっき通りがかりまして…皆様この先に御用でしょうか?」


「馬鹿っぽい顔で黒髪の男を見なかったか?」


マティーニが訪ねると


「ああ、岸辺さんですね」


と少女は返した。


「通じるのかよ」


「彼は今、レイ様と二人で寮長の所に向かいました

 二人きりになりたいと仰られたので私は別行動しておりまして

 その後の事は解りかねますが…」


「なら寮長室に連れていけ、我が君クレア王女殿下の命だ、レイの命令を優先しないよな?」


「クレア王女殿下は私のクライアントではありませんので…

 ですがそうですね、案内するくらいなら問題無いでしょう

 ついて来て下さい」


茶髪の少女はそう言って廊下を歩きだした。


「そう言えばさ…えっと」


ナラクが戸惑っていると


「アシュリーとお呼びくださいませ」


と茶髪の少女が返す。


「アシュリーね!さっきあんたが言ってた『人魚』って、

 何の事?」


「それ!私も気になりました!」


「…夏組寮の奇妙な怪談話です

 夜ビーチに足を踏み入れると、綺麗な歌声が聞こえて…

 声の方向へ近づいて行くと、知らない間に海の中で溺れているんだとか」


「こっわ!人魚ってそんなおっかねーの!?

 俺の地元も人魚伝説があるけどさ、そんな話聞いた事ないぜ」


「幸い重傷を負った生徒はいなかったのですが…

 調査しても犯人の足取りが掴めず、結局南棟が閉鎖になったのです」


「そんな中何故寮長まで招いて親睦会など行うのだ

 王女を危険な目に遭わせたいのか?」


「それは…まあ、寮長殿しか知り得ませんので何とも」


アシュリーはそう言って俯いた。


ーーーーーーー


「んふふ、ティナを間近で見て驚かないでね?遊助!

 女神って感じの顔をしてるけど人間だから!」


「ティナ寮長に会わせたいって言ってアシュリーさんを外してから

 ずっとそんな事言ってるね」


「楽しみなんだもん!遊助がどんな反応するのか…

 ほげー!って言うかな?それとも無言で固まっちゃう?」


「僕がティナ寮長に惚れたりしたらどうするの?」


「別に?いつもの事って思うだけ

 美しいものに恋をしてしまうっていうのは当然のことだし」


「彼女に会わせるのにどうしてアシュリーさんを外したの?」


「君がいたらSPはいらないでしょ?

 アシュリーは優秀だけど多分アルカナよりは弱いだろうし…

 それに私につきっきりじゃ友達も彼氏も作れないから

 私なりの配慮だよ」


「ふうん」


そんな事を話していると、寮長室前に到着する。

レイは意気揚々とドアをノックすると、


「ティナ!開けるよ!」


と声をかけ扉を開く。


驚いて振り向いたのか、目を丸くしたティナ寮長の目には、

大粒の涙が浮かんでいた。


不謹慎かもしれないけど、そんな彼女の表情さえ絵画のように美しかった。


「うわ…!どうしたの!?」


レイはそう言って彼女に駆け寄る。


「ご、ごめんなさい…!なんてことは無いのよ!

 私って駄目な寮長だなって…考えていたの」


「そんなことない!誰かに何かされた!?」


「いいえ、本当に違うのよ…あら?あなたは…」


「高等部1年祝日組の岸辺遊助です」


「まあ!私あなたとは一番話してみたかったの!

 クレア王女殿下のどこに惚れられたのかしら?

 詳しく教えて欲しいわ」


「え…いやあ~、プライベートな事なんでノーコメントで!あはは」


ティナは訝しげに周りを見渡すと、


「ねえレイ、一瞬だけ席を外してくれないかしら?」


と恥ずかしそうに言う。


「あ、あの件だね?了解」


レイはそう言って部屋から出た。

ティナ先輩と二人で残された僕に緊張が走る


本当に綺麗な人だな…女神みたいだ

僕は暫し彼女の金色の瞳に見とれていた。

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