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祝日組寮のアルカナ  作者: よつば ねねね
3章「夏組親睦会」
18/67

18話「ビバ夏組」

岸辺遊助:愚者のアルカナ「クズ虫」と呼ばれている。

クレア=エバンス:王女様で遊助の婚約者 好きな人がいる。

エリ=ルハート:存在するだけで周りを魅了してしまう。

ナラク・モスコミュール:最近まで引きこもっていたがゲームが完成したので出てきた。

「ビバ!」


「夏組ー!」


エリと遊助が盛り上がる。

今日は夏組との親睦会の日である。


「3日も滞在すんの!?げー…」


ナラクが肩を落とす。


「行けばきっと楽しいってナラク!

ほらこのアロハシャツ、ナラクの為に買ったんだから着ようぜ!」


「うわ!?よりにもよってすげぇ色…!」


「あ、ねえ先生」


エリが新聞を読んでいるリカルドに話しかける。


「あのね…?いつもより強めの魔力キャンセラーがほしいの、

最近またちょっと漏れてきてる気がして」


「それ以上抑えると1度外さなきゃ魔法が使えないよ」


「今日は使う予定ないし…いいの!

お願い」


「分かった」とだけ言うとリカルドはごつい見た目のネックレスをエリに渡す。

クレアはボーッとそれを見ていた。


「な、何?クレア…気になる?」


「ああいえ!すみません!」


「そろそろ行こうか、遅れたくないし」


リカルドがそう言って席を立つと、

遊助たちは意気揚々と寮を飛び出した。


ーーー

「うん、完璧!今日も素敵だよ、ティナ」


「ありがとうレイ…今日の私を見たらあの方は私を好きになるかしら」


「きっとなるよ、あなたより美しい女性なんかこの世に居ないんだから」


「お二人とも、お時間です」


「オッケー!行こうか!」

ーーー


「でか!」


僕は夏組寮のあまりの大きさと煌びやかさに驚愕する。

うちとは大違いだ…


「在籍してる生徒も倍以上だししょうがないんだろうけど…

うちと比べちゃうとやっぱりすごいね」


エリが寮を見上げながら言う。


「み、皆様あれ!」


僕たちが唖然としていると、

クレアが走り寄って焦りながら僕たちに呼びかける。


「なあにオージョサマ?UFOでも見…」


クレアが指を指した先には見覚えのある顔が出揃っていた


「マティーニ…!シーザー先輩も!?」


「やあ、会えて嬉しいよクレアちゃん!

…祝日組の皆もご苦労」


とマティーニ先輩は嫌そうに言う。


「な、何しに来たんだよ!」


「何って…夏組寮の寮長に招待されたのだ

 寮長達も一緒にどうですかとな

 私は勿論クレアちゃんの行くところなら何処にだって着いていく」


「ストーカーにならないように気をつけなー?

今日は決闘とかしかけて来んなよ」


「はん、決闘は1ヶ月おきではないと仕掛けられんのだ!命拾いしたな」


「なーにが命拾いだ僕の能力にめっぽう弱いくせして!」


「まあまあ2人とも落ち着いて!

こんな交流の場で喧嘩はよそうじゃないか

ここは色んな施設も併設していて楽しい所なんだよ?

はいこれ、パンフレット」


シーザー先輩に渡されたパンフレットを見ると、水族館はプラネタリウム、果てはビーチまであると書いてあった…

うちにはなんにも無いのに!


「ちょっとあんた達何自分ばっか出しゃばってんのよ!

ふーん、あんたが岸辺?マティーニに勝ったって言う…」


マティーニ先輩とシーザー先輩を押しのけて出てきたのは、白髪でメガネをかけた色白の少女だった。


「あなたは…消去法でいくと医療棟か冬組の寮長ですね」


「そ、私は高等部2年冬組寮長のマリー・ブラドー!

握手なんかしないわよ、私も王女との結婚を狙ってるんだもの!」


「はあ」


「あーん!王女様あ!お初にお目にかかりますぅー!とっても麗しいですわあ!」


「え!?あ、ああどうも…」


また濃いヤツが出てきたな…


「マリー・ブラドー!?あの天才メカニックの!?うわ、実在したんだ!サイン下さい!」


ナラクが目を光らせながら言う。


「あらあんた…『もす子』の中身じゃない

しょうがないわね、これでいい?」


サインを要求され、彼女は満更でも無い様子で彼のシャツにサインをした。


あれ、僕が貸したやつなんだけど…


「今回は医療棟の寮長様はお休みですか?」


「あー…彼は忙しいからね

会いたかったのかい?」


「いや!そ、そういう訳では…!」


僕らが騒がしくしていると、

夏組寮の扉が開き、途端に全員が息を飲む。


そこにはまるで女神のような美しい少女と、

モデルのようなスタイルのいい少女が現れた。

あれ?あの子女優のレイ=ジュリーじゃないか!?


「君、知ってる?『夏組には天使がいる』って…

 寮長副寮長があれだけ美人だからってのもあるが

 全体的に女子のレベルが高いんだ

 ほら、あの副寮長の後ろにいる子もめっちゃ可愛いだろ」


クレアに聞こえない様にシーザー先輩が言う。

先生が言ってた「天使」って美人の事かよ!


…いや、でも…悪くないぞ、美女に囲まれた交流会!


「シーザー先輩…!俺楽しくなって来ちゃったよ!」


ーーー エリ視点


「へー!女優業を一旦休んでここに!?」


夏組寮に入った僕らが一番最初に通されたのは食堂だった。

最高の料理をつまみながら、僕はレイ=ジュリーと話していた。


「ええ…元々伸び悩んでいた時期でもあったし

 ちょっと普段と違う環境に身を置いてみたくって」


「君のでてる作品色々見てるよ!一番好きなのは『天使たちの黙示録』!

 シエル役とっても良かった!」


「ああ…知ってる?遊助、あの役って実在するって言われてる天使がモデルなの」


彼女がそう言ってドリンクを手に取ると、後ろの女子生徒に渡し一口飲ませる。


「えっと…何してるの?それ」


「毒見だよ!彼女は私のメイド兼SPなの!ね?アシュリー」


「1年夏組 アシュリー・ダリアと申します

 よろしくお願い致します」


「すご!メイドなんて初めて見たよ!」


ーーー


「マジ!?冬組ってそんなもんまで開発してんの!?」


「ええ、実に様々な物を開発したり研究してるのよ」


ーーー


「学園生活はどうかしら?クレア様」


「楽しく勉強させて頂いておりますわ」



皆それぞれ違う寮の人と話し始めちゃったな…



「私とばっかり話してて大丈夫なの遊助?お友達と遊びに来たんじゃない?」


「え?あー大丈夫大丈夫!僕たち大人なんで?各々で勝手に楽しむって!」


「じゃあ3人で夏組周らない?いい場所が沢山あるの」


レイさんに言われるがまま、遊助は食堂を離れた。


何よ何よ!皆で回ろうって言ったじゃん!

いいもん別に、皆がいなくたって私一人でも夏組満喫してやるんだから!


私もエントランスを離れ、人気の無さそうな水族館へと足を運んだ。


このクラゲ、偽物だ…機械のクラゲがふよふよと漂ってるだけなんだ

よく見たら本物の水生生物は一部だけで他はハリボテみたい

そりゃ人気もないわけね…


「君、一人で何してるの?」


私がボーっとクラゲを見つめていると

そこにはマティーニ先輩のパーティで見た人が立っていた。

あの時は解らなかったけどこの人かっこいいな、王子様みたい…


「…皆が他の寮の人と話し始めたから一人でここに来たの、悪い?」


「いや…」


彼は私の顔を見るなり宇宙の授業を受けた時の様な絶妙な表情で固まってしまった。


「どうしたの?私の顔に何かついてる?」


「すまない…知人の顔に少し似ていたものだから!

 君、パーティに来ていた子だよね?

 そんな顔してたんだ、解らなかったよ」


そう言って彼はへらへらしながら隣に来る


「…あの、私に近づいたって何も話しませんから

 クレアの事とか聞きたいなら他を当たりなよ」


「こんなとこでクレアクレアって…やめてくれよ

 ここは水生生物を見る場所だろ?

 …あれ、ハリボテだ」


「あなた私の事知らないの?『魅了の魔女』聞いた事ない?

 魅了魔術が固有で自分でも制御できないの

 関わると碌なことないんだから」


「へえ、便利な能力じゃないか

 僕も魅了してみてよ、寮長だし役に立つかもよ」


「何馬鹿なこと言ってんの!便利なんかじゃない!

 もういい、そっちが出て行かないなら私が消える!」


私がそう言って水族館を出ようとすると、彼に手を掴まれる。


「待って!」


「!?」


「君の…名前が知りたいんだ、教えてくれないか」


「え…?えっと」


私が困惑していると、入り口からよく知っている声が響く。


「ちょっと!何やってるんですか!」


「クレア!?」


「エリ、離れて下さい!この方は女子なら誰彼構わずたぶらかすお方なんです!」


誰彼構わず…何だ、ただの軟派な人って事ね


「やあクレア、こんな日に君に会えてとても嬉しいよ

 今日も清楚な魅力をお持ちで…」


「うぎい!思ってもない事を言わないでください!

 行きましょうエリ、シーザーお兄様は一人で夏組を回って下さいまし!」


「あはは、つれないなあ」


クレアはそういって私の手を引くと水族館を出た。


「…あの…何で来たの?お話しは?」


「エリが途中で抜けていくところを目にしましたので挨拶もそこそこに追いかけてきたんです!」


「へえ…そうなんだ…」


私は少しにやけた顔を誤魔化すように下を向いてそう呟いた。

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