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祝日組寮のアルカナ  作者: よつば ねねね
2章「もう一人の祝日組」
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16話「ヘルズクエスト」

ルハートが岸辺を追って出ていくと、

俺は泣きじゃくる王女と2人取り残された。


「あ…じゃあ俺も行くわ!

これ、使っても捨ててもどっちでもいいから!」


俺がそう言ってハンカチを渡すと、


「…ました」


小さい声でクレアが何か話しているのに気づく。


「え?ごめん、何?」


俺は近寄って耳をすます。


「解ってました…私が王女と言うだけで

皆様に迷惑を掛けてしまっているのは…

エリが私に魅了の魔術を掛けて友達になったんだと噂されていること

遊助様がクズ虫と呼ばれてしまっている事」


クズ虫って呼ばれてんだ、アイツ…


「でも、私祝日組寮の人達が好きで…

迷惑と解っていても友達でいたいと思ってしまうんです

ナラク様とも…友達になりたいんです

わがままなのは解ってます

私は…どうしたらいいのでしょう」


「他の2人はともかく?あんたを傷つける様な人間と友達になりたいのは何でなの

俺、多分これからもあんたに言葉選べないしこうやって泣かせるよ

合わないなら離れてた方がいい事だってある

無理して全部とる必要無いと思うけど」


「ゲーム」


「え?」


「ナラク様が作ったゲーム…やりたいです

ナラク様と一緒に遊びたいです

わ、私…そういった事に誘われたの、初めてだったから」


「…」


「ナラク様は確かにはっきり物を仰る方です

…でも同じくらい優しいです

距離を置きたい筈なのに私の誤解を解こうと必死に追いかけて来て下さいました

迷惑だって言っていたのにハンカチを差し出して下さいました

今も私の話を一生懸命聞いてくれています

…私…そんなあなたとお友達になりたい」


彼女はそこまで言い切るとまた大粒の涙を流しながら


「だから…縁を切りたければ切りな、だなんて言わないで欲しいんですうー!

わ、私だって本気で縁を切りたいだなんて…!思ってなくてえ!ごめんなさいー!」


「あー!もうあんた王族だろ!子供みたいに泣くな!わかったから!」


「遊助様と…本当に戦うのですか?

彼は強いです、本当に

申し訳ないですが 普通の生徒が勝てる相手では…」


「勝つよ、…やりたい事が出来たからさ」


ーーーーーーー


夕刻、祝日寮の裏庭に集まった俺たちは準備を始める。

審判は先生がやってくれる事になっているが…

祝日寮って一応2.3年いるんだよな…?一体どこで何してるんだろうか


「両者、決闘開始時から武器を持つように!申請は済んでいるか?」


「おっけー」


「問題ありません」


「それでは…勝負開始!」


僕が剣を出すと、ナラクは謎の機械を校庭に置いて

少し離れると、杖を突き「起動!」と言った。


すると足元がうごめき出し、

周りはみるみるうちに城へと姿を変えた


そして頭上から降ってくる『何か』を僕が避けると、

聞きなれた様な音楽が聞こえてくる


「なんだこれ…ロゴ!?」


振ってきたのは「ヘルズクエスト」という文字

そしてこの音楽は…


「ゲーム音楽だー!」


僕は思わずはしゃぐ。

この手のゲームは数ほどやって来たが、

ゲームの中に入り込むなんて経験は初めてだ!


「ちょ、ちょっとこれなんですか!」

「あれ!?いつの間にこんなとこに!?」


とエリとクレアの声。

声の方に振り向くとそこには妙な格好をした二人が立っていた。


「って僕も…ごてごての勇者って感じのコスプレさせられてる!?」


「安心しなよ、女子二人は後衛だからダメージが入らないように設定されてる」


どこからともなく、ナラクの声が聞こえる


「このダンジョンを抜けて魔王である俺を倒したらあんたの勝ち

 どう?面白いだろ」


「さいっこうだよ!何これ!決闘がRPGになっちゃった!

 僕さあ!ゲーム大好きなんだよね!こんな事出来るなんてすごいじゃんナラク君!」


「え?ああ…ありがと…?いや、

 じゃなくて…!お礼言ってる暇なんてあるのか?」


ナラクが言い終わると、大量のスケルトンが僕を襲って来た。


「おっと!怖い怖い!」


そう言いながら僕はスケルトンを切り伏せる。

しかし相手に僕の「欲を切る能力」は効いていないようだ…


「成程、データには効かないって訳」


そう言っているとエリが呪文を唱え、スケルトンたちを焼き払う。


「エリ、ナイス!」


僕が盾となり二人を守り、エリが魔法で攻撃、クレアが回復という構図で攻略は進み…

僕たちはどんどん上に登って行った。


最上階まで来ると、制服姿のナラクが


「想定より早く上がって来たな…ここからは一対一でいこうか」


ナラクがそう言うと、女子たちがゲームから消える。


「元々そうして欲しいもんだったけどね!

まさか僕一人じゃここまで来れないと思ってた?」


「まさか、んな甘くねえよ」


彼の靴から、炎が吹き出す。

使用出来る武器や道具は「2つまで」

なるほど、このゲームを起動する装置と靴が君の武器ってわけか。


思い返すとクレアを追っていった時、

彼の足は「異常に早かった」

靴に何かしら仕掛けがあってもおかしくない。


彼の能力は何なんだろう?

ゲームを起動できて足が早くなる…?想像つかないな


そもそもこのゲーム自体、起動しているだけで魔力を吸われる筈だ。


ナラクが僕に蹴りかかる。

剣に対して身一つとは大胆だ、と思っていたが…機動力も力も並外れている。


恐らくは靴から噴射される炎の影響だろうか?

彼は靴に対してなんの操作も行って居ないとこを見ると


「君の能力は電気を発生させること、だね

 その靴を電力で操ってるんでしょ」


電気を通すことで靴を起動し、

そして余った魔力を電力に変えてあの機械に伝えている…

魔力を練る力は相当なもんだろう


「すごいね君、頑張ればアルカナになれるかもよ!?

頑張ればね!」


僕が剣で彼の靴を弾くと、

彼はバランスを崩して倒れる。

そして僕は彼の首元に剣をかざした。


「すごいな、『アルカナ』って

…あんたのその剣技、全部努力によるもんだ

『切りつけられなきゃ無力』である能力が使えるくらいにまでなったのは…

あんたが生身の力を鍛えたから

天才くんなんて言ってバカにして悪かった

あんたは強くなるべくして強くなったんだな」


「僕も君を尊敬するよ

その能力で戦うには出力する武器が優れているか体術が優れていなければいけない

…君は体術を鍛える事を選んだ

君の動きを見たらわかる

君は引きこもっているその間も、一日として鍛錬を怠ったことは無いね


頑張り屋は好きだ、…けど

だからって手加減はしないよ!」


僕が剣を振りかざしたその時


「ゲーム、クリアーだな」


彼は不敵に笑い、少し後ろに下がる


「…え?」


僕は突如降ってきたゲームクリアーの文字に被弾した。

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