第2話 同年代
ももさんの笑顔は素敵だった。
彼女と僕の出会いは運命に違いない。
今の僕にはそんなことしか考えられなかった。
「ここはどこなのかしら?
私たち、誘拐されたのかな。」
誘拐されたのなら、犯人は恐らく恋のキューピットだろう。
僕は君と出会うために誘拐されたのだ。
「…ゆうま君、聴いてる?」
「はう!」
僕は急いでよだれを拭いた。
「僕…記憶が無いんですよね。
ももさんはここに連れてこられる前のこと、覚えてます?」
ももさんは僕のことをじっと見て何かを考えているようだった。
「ゆうま君、何歳?」
「あ、僕は19です。」
「同い年じゃない!」
ももさんが嬉しそうに答える。
やっぱりこれは運命だったんだ。
僕にはもうももさんの花嫁姿が見える。
「同い年なんだからタメ語でいいよ。」
「そうで…そうだね」
ふんわりした印象だったので、歳下に見えたのかもしれない。でも同い年も悪くない。
僕は完全に浮かれてた。
「実は、私も何も思い出せないの。
…ゆうま君は頭痛とかする。」
僕のことが好きなのだろうか、ももさんは僕の心配をしていた。
「いや、頭痛とかは特に…
ももさんは?」
「私もなんともないの。
二人とも記憶が無いのは変じゃない?
頭を殴られたわけでもないみたいだし…」
確かに変だ。なぜこのような天使と僕は今の今まで出会うことがなかったのか。
いや、出会っていたのか?
記憶が無いのでなんとも言えない。
「過去のことはいい、大事なのは未来だ!」
「え?あ、そうね。
連れてこられた経由よりも、どうやって逃げるか考える方が先よね。」
しまった、声に出てしまっていた。
まずは落ち着いて先に状況を把握しなければならない。
「とりあえず出口を探す?」
ももさんが提案してきた。
二人で辺りを調べた。
部屋を出ると台所やリビングらしい空間がある。
奥には玄関が見えた。
「玄関だ!
ももさん、僕見てくるね。」
やはり男佐藤ゆうま、何事も率先して行動せねば。
玄関へ行きドアを開けようとするが、案の定開かない。
「ゆうま君、外…」
ももさんが窓を指している。
僕は窓へ行きカーテンを開けた。
真っ暗だった。
何も見えない。地面も見えない。
ここは地球なのだろうか?
「外に出られないっていうか、外が無いのかもね。」
ももさんが不安そうな顔になった。
流石に僕も、ことの重大さに気付いた。
「僕たち、普通に誘拐されたわけではないようだね。」
突然上の階から椅子が倒れたような音が聞こえた。
「ひゃっ!」
ももさんが驚いて僕の後ろへ隠れた。
「僕たち以外に誰かいるのか?」
「ゆうま君…怖い」
僕は気付いてしまった。
そう、これはアピールタイムなのである。
怖がってるももさんに僕の勇姿を見せつけるチャンスなのである。
「僕、見に行くよ。」
ももさんが僕の背中をキツく掴んだ。
「気をつけて…」
階段を見つけて上の階に誰かいるのか見に行かなくては。
だがしかし、気付いてしまった。
…これめちゃくちゃ怖い。




