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第91話 黄金の精神を持つヒーロー



 そして結婚式イベント当日である。

 天気にも恵まれ、式場となる校庭には生徒や保護者、OBなどがわんさかと。

 声をかけた訳でも無いのに、クラブ活動者は屋台を出し精を出して。

 それを、英雄と白いタキシード姿の栄一郎と天魔は教室の窓から眺めいた。


「さぁーて、これでフィリアがローズ義姉さんを連れてきてくれたらオッケーなんだけど」


「およ? その後の事は心配しないでおじゃるか? 拙者は正直、反対というか不安なのでゴザルが」


「あ、俺も俺も、不安しかねぇぞ?」


「え、何処が? そりゃあ義姉さん次第って事はあるけどさ」


「違うでおじゃ、拙者が心配してるのは。バカに刃物を与える事でにゃ」


「ああ、義姉さんってば過激だもんね」


「お前の事だ英雄っ!! 今回ばかりは本当に慎重にしろよ! いや、この時点でもう慎重とはかけ離れてるけどさっ! 親友の引導を渡す手伝いをした男にするんじゃねぇっ!!」


「まあ、信じようじゃないか僕らのローズ先生を、さ……」


「カッコつけてるんじゃないでゴザルっ!!」


「格好つけるなら、勝った後にしてくれっ! 俺たちを心配で殺す気かっ!!」


「いやー、親友にここまで思われて。僕ってば幸せ者だなぁ……」


「なあ栄一郎? この幸せ者に祝福のパンチをするべきじゃないか?」


「奇遇でゴザルな、拙者もそう言おうとしていた所でおじゃ」


「わわっ!? お腹っ! お腹はダメだよっ! 昨日フィリアってばマジで殴ったんだからっ!!」


「恋人が殴ったなら、俺らも殴る権利あるよな?」


「んだんだ、這寄女史も色々と思う事があるのでゴザろう。ではお覚悟でゴザル」


「は、話せば分かるっ!」


「この計画立てたお前が言うか?」


「説得力無いでゴザるな、――では、梅干しで勘弁してやるでおじゃ、行けっ、天魔!」


「おうよ!」


「のわわわーーーーっ!? 絶対痛いやつじゃんかそれっ!?」


 教室内をドタバタを追いかけっこを始める三人だったが、コンコンとノックが二つ。

 三人はピタリと動きを止め、開かれたままの扉の方向を見ると。


「いよぅ英雄っ! 面白そうな事になってんじゃねぇか。ちょっと俺らも混ぜろよ」


「まさかフィリアちゃんを諦めてないでしょうね? もしそうだったら、海に沈めるわよ」


「親父っ! お袋っ!」


「英雄殿の親父様キターっ!! これで勝つるっ!」


「え、英雄のお父さんってそんなヤバイの?」


「何言ってるでゴザル天魔っ! あの英雄殿のご両親でゴザルよ! 歩く乱痴気騒ぎの英雄殿を育てた人でゴザルよっ!」


「え、君ら酷くない? ちっとも否定出来ない事が悲しいけど」


「ふふっ、良いお友達のようね」


「だろうお袋! 自慢の親友さ!」


「あ、お母さんの方もヤバそうですね」


「というかあの御仁はここのOBで伝説的なお方でおじゃよ?」


「納得した」


「そういえば、親父は別の高校だったんだっけ?」


「最初はコイツと一緒に通うの恥ずかしくて別の高校行ったんだけどなぁ」


「王太ったら、ちょっとやり過ぎちゃって。隣の高校だったんだけど廃校になったのよ」


「いやー、オレも若かったなぁ……。結局、二年から此処に通う羽目になったし。あ、食堂のオバチャン元気? まだゴールデンベリーソースカレーパン作ってる? あれ、オレがリクエストしたんだ」


「マジでっ!?」「あー、これは確かに頼もしい」「な? 言ったでゴザろう」


 意外な真実にビックリしたが、英雄ははたと気が付いて。


「親父とお袋の青春時代の話は後で、それより何で電話にもメールにも出ないのさっ! 僕とフィリアは大ピンチなんだからねっ!!」


「ワリィな、ちょっと這寄グループの敵対企業まとめ上げて、商戦しかけてたんだわ」


「それもあるけど、英雄。貴方は私と王太の子よ、これぐらいの窮地は乗り越えるのが当たり前よ」


「ハードル高くないお袋っ!? 何とかなってるけどさっ!」


「ところでフィリアちゃんは? 私の特製ウェディングドレスを持ってきたんだけど。早着替え出来る優れ物なの。――まさか、本当に、あの子を捨てたとか、言わないわよね?」


 スゴゴゴと威圧する英雄の母・こころに、栄一郎と天魔が抱き合って震えて。

 そこは産まれたときからの付き合いである英雄は、そよ風に吹かれたかの如く動じずに。


「ああ、フィリアはローズ義姉さん達をおびき寄せて貰ってる最中だよ。……というか、どうして結婚式イベントの事を知ってるのさ? そっちは教えるのまだだった筈だけど?」


「あまり母を舐めない事ね、この学校の女子のネットワークを作り上げたのは私。当然、今もリアルタイムで情報は入っているわ」


「な、怖いだろコイツ」


「貴方がそれを言う? ところで英雄、貴方の親友達は貴方を裏切ったようだけど……落とし前はつけるの?」


「おじゃっ!?」「あ、ヤベっ!?」


 矛先が向いて、顔を青くする二人。

 だが英雄は首を傾げて。


「落とし前? 何で?」


「薄情だとは思わないの?」


「ショックはショックだったけど、僕が同じ状況だった裏切るし」


「即答したでおじゃっ!?」


「いや、当たり前でしょ? だってどう考えても恋人優先だよね? そっちを何とかしてから友情に回るよね?」


「あ、うん。そうだな」


「それにさ、――もし心から裏切ったら。僕は彼らを許し、愛する覚悟が出来てる」


「…………母親として聞くけど、親友としてよね?」


「いや? 性的対象としてだけど?」


「おいこころっ!? 完璧にお前の血じゃねーかっ!?」


「私は教えてないわよっ!? この子が勝手に覚醒しただけよっ!?」


「ふふふ……心するが良いぞ天魔。拙者達は失敗すれば犯罪者、最悪の場合その後に英雄殿のハーレム入りが待ってるでゴザル」


「…………それ、這寄さんと愛衣ちゃんから同時に刺されるのも同じだよな? ローズ先生めぇっ!! 英雄を悪のパワーに目覚めさせやがってっ! 聞いてください英雄のご両親っ! コイツってばスンゴイ色気のある女装して脅してくるんですっ! 俺らのケツの穴と棒を守ってくださいっ!!」


「あ、すまんな。最悪の場合には其方のご両親に土下座しに行くから」


「フォローになってないでおじゃっ!?」


「英雄、もしもの時は躊躇わず全てをヤりきりなさい……。コンドームとローションを渡す事しか出来ない母を許して欲しい……」


「それ火に油を注いでませんか英雄のお母さんっ!?」


「ははは、大丈夫だって栄一郎、天魔。最悪の場合だって」


「やはり、あの時に裏切った拙者は間違って居なかったのでは? くっ、拙者がローズ先生をもっと上手く操縦して、英雄殿の女装を止められていればっ!!」


「はぁっ!? お前だけ安全圏を確保しようとしてた訳っ!? ズリィぞ栄一郎っ!?」


「ウルサイでおじゃっ!? 英雄殿には恩義があるし、厚い友情と結ばれたなかでゴザルがっ! 色恋沙汰とケツの穴の貞操がかかれば別だろうがっ!!」


「だよなっ! よし、来週にでも女装英雄対策を練ろうぜ! 具体的には栄一郎が女装して、英雄を口説けよ!」


「それ下手しなくても這寄女史に殺されて、茉莉にボコボコにされるでおじゃっ!! そんな事をしなくても、這寄女史に遊園地のチケット渡せば解決でゴザル!」


「それだ栄一郎! 冴えてるなお前っ! ははん! 英雄なんて這寄さんをけしかければ一発だぜ!」


「それ、同じ方法を君たちにやっても良いんだけど?」


「おいバカやめろっ! それは俺へのダメージがデカい!」


「そして拙者は英雄殿に借りがじゃぶじゃぶ増えるでゴザルな?」


 ぎゃーすかぎゃーすか騒ぐ三人を、王太とこころは暖かな目で見て。


「ところで英雄? 貴方のお姫様が到着したようだけど?」


「なんで僕らより情報早いのさっ!?」


「あー、そして俺からもバッドニュースだ。ユーリとカミラも到着したみたいだ……いやー、これは荒れる気配しかしないなっ! 楽しみになってきたぜっ!」


「楽しまないでよ親父っ!? ご両親達はそっちに任せるからねっ!」


「おうよ任せとけっ! その為に来たんだからなっ!」


「愛の為なら全を許すわ、けど負けたら承知しないわよ」


「…………英雄殿があんな風に育つ訳でゴザる」


「だな、じゃあ行こうか! 裏切った手前、体ぐらい幾らでも張ってやろうじゃん!」


「サポートは任せるでおじゃ!」


「ようし! 作戦開始だ!」


 そして三人は教室から飛び出し、王太とこころは腕まくりして歩き出した。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 親父さんもお袋さんもぱねぇw 英雄はサラブレットだったんだなw [一言] 舞台はととのった! あとは・・・もう一人の主役の登場のみ!
[気になる点] 「おいこころっ!? 完璧にお前の血じゃねーかっ!?」 「私は教えてないわよっ!? この子が勝手に覚醒しただけよっ!?」 [一言] これがまともな夫婦の口論に見える自分がいる
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