2/19
自由律俳句集「雨」ver.2
聖夜にて現行犯一目見ようと粘る子等
アットホームな何々と実情見えない宣伝文句
未だ働く老人を未来の我と写し見る
顔伏せて斬首前の通勤電車
若干口角引きつった吊り下げ広告の新郎役
液晶に映る恋模様は面白く現実に見る恋模様はつまらなく
長期貸し出しの本ずっしり借りて一切読まずに返すとき
別れる前は重い寂しさ一度経てば塵と化す
数多の喧嘩発端一つも留められず
屑籠に幾度も洟擤み紙を投げ試む
天気予報を恨む人を眺める
誰の誕生日も知らず聞けず
明日に無計画な希望を押しつけて今日は私欲に走る我
すぐ緩んだ靴紐を結びながら緩く結んだ自分をちょっぴり恨む
スマホなぞることに一日の最を費やす