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自由律俳句集「雨」ver.16
偶然にさえ逢わなくなった同窓の友
風の間をそっと歩く下校路
コンビニ前バイクに凭れるリュックサック
女子と喋らず恋愛小説読み漁る青春時代
寝付けないテスト期間靄のかかった頭を強制稼働
オーロラソースうす橙
オーロラカーテンテレビで幾度も見て初見の感動十分の一
寝てる間に再出血物珍しい目で眺めて
アスファルトのヒビ褒めずとも誰もが育て成長す
駅ホーム演説の反響音届き薄まりブレてただ低音響く
電柱に貼られた行方不明犬の写真絶望感拒めず、以後経過知らず
一駅だけの三か国語アナウンス
生まれながらにして聖人おらず、成人おらず
帰宅の途バスを揺り籠と思う
運動場変声期前の声よく響く