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強化無双?  作者: くるなつ
第1章 異世界生活
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第7話 お買い物ー

「ふぁ~あ」


 ん? ここはどこだ? ・・・とはさすがに3回目なので、ならず、もちろん覚えている。布団を被った状態で顔だけだして時計を確認すると、まだ早朝の5時だった。いや、昨日確かに早くは寝たけども、普通こんな早く起きるかね?


 とは思ったが、寝ようにも寝付けず、道具袋(アイテムボックス)から昨日着ていた服とは違う服を取り出す。一応中身を言っておくと、パジャマが2着と、活動用の服が5着、それから293万G、王都の地図、ギルドでもらった資料、入っているのはそれぐらいだ。


 さっと服に着替えたはいいものの、やることがない。スキルの試しをやる気にはなれないし・・・。あ、でも道具袋の中身を全部登録本(コレクトブック)に移しておくか。てか道具袋ごと入るのか?


 ふと疑問に思ったので試してみる。結果は成功、道具袋は登録本に仕舞われた。中身を確認すると、あら不思議、道具袋と中身は別々になっていた。もちろん別々に問題なく取り出せるし、道具袋を取り出すと、中身は入っていなかったので、道具袋などのアイテムを入れると自動的に登録本内にぶちまけられるようだ。


 さて、そろそろ行くか。と1人呟き、軽く身支度を整えたあとに部屋を出た。真守の部屋に突撃するのもいいが、さすがに会ったばかりなのに仲がいいとはいえまだ起きていないだろうし、冒険者なら朝早いってのが異世界ものだと当たり前だけど、5時頃にもう起きて普通仕事行くか?


 考えていても仕方がないので(ここ廊下だし)1階に降りると、レイラさんがこちらに気づいて挨拶をしてきたので、俺もそれに返す。


「おはようリョータ。昨日はよく眠れたかい?」

「おはようございますレイラさん。はい、昨日はよく眠れたのでこんな時間に起きてしまいましたよ」


 と苦笑しながら言ってしまったが、他の冒険者たちはどうしたのだろうか? もう行ってしまったのか、これからなのか・・・。その疑問の答えはレイラさんが言ってくれた。


「冒険者も朝は早いけどあと30分はしないと起き出して来ないよ、昨日お弁当については言ってこなかったけど、リョータも冒険者なら必要だろ?」

「あるなら欲しいですが・・・」

「なら作っておいたから、800Gになるよ」

「分かりました、ありがとうございます」


 俺はお礼を言って大銀貨1枚を登録本から素早く取り出して渡し、それを受け取ると、レイラさんは銀貨2枚と厨房の奥から取ってきたお弁当を渡してくれた。正直助かった。言われてから思い出したくらいだしな。


「あの、普通暑い日にそのままお弁当を持っていってしまうと腐ってしまうと思うんですが大丈夫なんですか?」


 ふと疑問に思ったことをそのまま口にするとレイラさんはすぐに答えてくれた。


「あら知らないのかい? そのお弁当箱の蓋には中級生活魔法の冷蔵(フリーザー)がかけられていて、INTの高さに応じてより長く中のものを冷たい状態に保ってくれるんだよ。そして箱を開けると同じく中級の加熱(レンジアップ)が発動して熱々の状態にしてくれるんだよ。でも、1回しか発動しないし、すぐに食べないと冷めちゃうから箱を開けたらすぐに食べるんだよ」

「はい、わかりました。教えていただきありがとうございます」

「ほら、じゃあ行ってきな」


 俺がお礼を言って頭を下げると、レイラさんはそう言って笑顔で俺を送り出してくれた。意気揚々と宿を出たものの、まだかなり早い時間だったことを思い出し、どこにいこうか迷いながら地図を見る亮太であった。(まさかの自己ナレーター)



 ☆★☆



 どこにいくか迷っていた俺がどこに行ったかというと、道具屋だった。理由はこの時間に開いていてかつ、近かったという適当な理由である。


 外見は質素で普通の1階建ての家屋のように見えるが、中央にポーションのようなマークと道具屋と書いてあるので、恐らくというかほぼほぼ道具屋で間違いないだろう。これで道具屋じゃなくてただの住居だったらどうしろというのか。


 扉の部分には「OPEN」と書いてあるのでやっているだろう。とあんまり扉の前で立ち止まってふらふらしてるのも怪しいしとりあえず中に入る。がしかし、中にはポーションや何か使えそうな道具が並んでいる訳ではなく、左右に木製の棚と、前方に木造のカウンターとその席にニコニコとしながら座る駄菓子屋のおばあちゃんがいた。・・・そう説明せざるを得ないほど駄菓子屋のおばあちゃんである。


「いらっしゃい、何か買っていくかい?」

「い、いえ、あの、何が売ってますか?」


 唐突に言われてちょっと声が上擦ってしまったし、テンパって質問を質問で返してしまった。しかし、おばあちゃんは特に何を言うでもなく、ポーションや薬品が入った箱をカウンターの上に置いた。


「この中に入っているポーションや薬品やら全て合わせて5万Gだよ」


 安いな、市場調査した時は品質が悪い色の汚いポーションでも1つ1万Gは下らなかった。中身は赤、青、緑の色鮮やかなポーションが各1本と、小瓶に入った赤いカプセル剤が3つ、それから、粉薬が5包だ。これだけ入って5万Gは安すぎるな・・・怪しい。


「あの、いくらなんでもこれだけ入って5万Gは安すぎるんじゃ・・・」

「じゃあ20万Gで買うかい?」

「なんで値上がり?!」

「じゃあ買わないのかい?」

「買います!」

「はい、じゃあ20万Gね」


 値段は元に戻らないのかーい。勢いで買いますって言っちゃったし、おばあちゃんノリ良いし。まあいいや、今は結構な金額持ってるし、真守たちが鑑定使えるから万が一毒だったとしても分かるだろうし、と思って金貨を20枚渡した。


「丁度ね、はいじゃあ道具セット4つ」

「なぜ4つ・・・」

「4つ分の代金もらったんだから当たり前だろう? それじゃまた私の店をご贔屓に」

「あ、ありがとうございました」


 なぜかすぐに店を追い出されたのでそのままお礼だけ言って出てきてしまったが、なぜ4つも渡して来たのか? 丁度勇者は俺を合わせて4人分だし、何か知ってるのか?・・・いや、考えすぎか。在庫処分の方がありうるだろ、それならあの安さも4つも押し付けてきたのも頷けるし。


 と考え事してる場合じゃない、さっさとギルドに向かってランクの低い依頼でも受けよう。足早に俺はその場を離れギルドへと向かっていった。



 ☆★☆



 もうそろそろ働く時間なのか、ちらほらとギルドにも人が集まり始めていた。今日からついに冒険をするんだと思うとワクワクする。依頼掲示版の前に立ち、自分のランクであるGランクの依頼が貼られた掲示板を探す、そこにはゴブリンとかコボルトとかの雑魚敵の代表格たちが並んでいた。


 その内容を読むと、どうやら受注制ではなく、いわゆる常設依頼で受付嬢に受注を伝えなくても、討伐証明部位である魔石を機械に通せばいい。とアレクシアさんがくれた資料に書いてあったことをここで思い出した。


 これではギルドに来た意味がなくなってしまったが、来てしまったものは仕方がない。しかし、ギルドの近くに朝買えなかった武器や防具を売っているお店があるので、完全なる無駄という訳では無かった。そうと決まればさっさとギルドを出てそのお店へと移動する。


 お店は昨日調査した時に良さそうだと思ったところにする。記憶力は意外といい方なので、道に迷うことなくそのお店に着いた。そのお店はかなり大きな石レンガ製の平屋で初心者用の安いものから、上級者用の高級品まで幅広いものを取り扱っているお店だ。


 しかし、そのほとんどが金属性のものであり、後衛職用のものはほとんど売られていない。が、俺は一応どちらかわからないが、初心者用の装備なら万が一後衛だったとしてもそこまで痛手にはならないので、問題はなかった。


 冒険者が活動を始めた、といってもお店に来る人は少なく、俺はじっくりと見ながら決めていくとこにした。そうして俺が30分ほど色々な武具や防具を安い物から高いものまで色々見ていると


「よぉ、坊主」


 後ろから1度だけ聞いた事のある声が聞こえてきた。振り返ると


「ガルムさん」


 そこに居たのは漢の中の漢。筋肉ムキムキガルムさんだった。


「装備を買いにきたのか?」

「はい、まだ買っていなかったので」

「そうか、坊主の職業はなんなんだ?」


 ここで正直に言ってはまずいと思い、とりあえず戦士系ですと伝えた。すると、ガルムさんはふむと言うと1人でどこかへ行ってしまった。よく分からずにぼーっとしているとガルムさんが装備を抱えて戻ってきた。


「戦士系ならこのあたりがおすすめだな」


 ガルムさんは抱えていた装備を乱雑に落とした。片手剣や両手剣、槌、斧、盾や鎧、胸当など様々なものがある。ガルムさんのおすすめなのだろうと思い、俺はその中から無難に片手剣と盾、鎧は重そうなので、胸当を拾い上げた。


「この3つにします」

「そうか、じゃあ付いてきてくれ」


 ガルムさんは落ちている装備をひょいひょいと拾い上げると、カウンターの方へと歩き始めた。しかし、カウンターに着いてもガルムさんは止まらず、そのまま店の奥へと入っていった。


 ガチャガチャという音が奥からしたと思ったら、何も持っていないガルムさんが戻ってきて、なぜか俺とカウンターを挟んで対面するように立った。


「それじゃお会計が、ミドルソードと、アイアンシールド、鉄の胸当ての3つで合計2万6千Gだ」

「?!」

「ガッハッハッなんだその意外そうな顔は、私が脳筋バカだとでも思っていたのか?」


 ガルムさんが豪快に笑いながら言ってくる。そこまでではないが、戦闘しかしなさそうとは確かに思っていた。それにここのお店の店員だったのか・・・、それだけランクが高いのだから冒険者だけでも食っていけるだろうに。そんな疑問が顔に出たのだろう。その疑問に答えるようにガルムさんは言った。


「ここは俺の親父の店でな、たまに手伝いに来ることがあんだ。今日は依頼もなく暇だったもんだから、こうして店員のようなことをやってるんだ」


 そう神妙な面持ちをしながら言ってくるガルムさん。しかし、その後すぐにあの笑みに戻りまたあれのお誘いをかけてきた。


「で、どうだ? 特訓する気にはなったか?」

「いえ、まだあれから1回も街の外に出ていないのでまだちょっと・・・」

「そうか」


 俺が断ると意外とあっさりとした返事をしてきた。そして、頑張れよと声をかけて送り出してくれた。そして、次はコルート平原へと向かおうとお店を出ると大声が聞こえてきた。


「坊主! 金ー!」


 そういえば支払いをしていなかったと俺は思い出した。元気に送り出そうとしたガルムさん、そして平原に向かおうとしていた俺。なんともいえない空気の中で支払いを済ませたのだった。

次でやっと戦闘シーンに入ります。

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