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強化無双?  作者: くるなつ
第1章 異世界生活
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第3話 市場調査とギルド

王城を出てからは、俺だけ別行動をすることになった。真守たち3人はこのまま真っ直ぐギルドに向かうようだが、俺は先に市場調査をしておきたかったからだ。


 パン1つの値段をみたところだいたい円=Gだとは思うが、街の雰囲気や、王城があること、異世界あるある的に、俺が普段使っているものの値段も高くなっていたりする(例えば、お風呂とか香辛料の類いとか)と思うからだ。戦闘も早くしたい気持ちはあるが、焦って死んでしまっては意味がないからな。


 まずは、周りから固めたい。と同じような説明を真守たちにもしたところ、俺は先に戦闘してみたいと、真守が目をキラキラさせながら言ってきたので、目線をスライドさせると、苺花と歌音の2人もうんうんと頷いていたので、お前らと少し呆れつつも、まぁいいかと思い。


「じゃあ俺は市場調査してくるから3人はギルドを見に行ってきな。結果は後で教えるから」

「「「はーい」」」

「亮太、集合場所はどうする? 宿屋とかで大丈夫?」

「それで大丈夫だけど場所はどうする?」

「どうしようか?」


 心なしかテンションが高い3人と話し合った結果、黄金の小麦亭という小麦の束のマークが目印宿屋に決まった。黄金とか名前についてるから高級宿そうだが、流石に1人一泊10万なんて値段はしないだろうということで決めた。


 夕方頃にはこの宿屋で落ち合おうってことで、俺と真守たちは別れた。



 ☆★☆



「見たところ本当にグラシアンはいい王様らしいな」


 俺は安堵しながら1人呟いた。街の雰囲気をみるに重税を課してるとか、徴兵令だしてるとかそんな感じでは無さそうだ。戦争をしているような国には思えない程だ。実際には見たことないが、日本も戦争中はこんな雰囲気ではなかっただろう。


 適当に屋台や八百屋、肉屋など食料品を売っている店も回ってみたが、どれも日本でみた金額と変わりは無さそうだ。だが、やはり香辛料の類は売っていないか、売っていてもかなり高かった。しかし、香草? と呼ばれるであろうものは結構安かったので、基本的には味付けは塩と香草で行うのだろう。俺の料理スキルは家庭科で習ったものを作れる程度だが。


 宝石類やアクセサリーの類が売っている場所は、特に必要もないし、俺自身もそこまで詳しい訳では無いので、無視した。


 最後に冒険者や兵士にとって必須であろう武器や防具、道具などが売っている場所に来たが、日本で育った俺が武器や防具の価値などわかる訳もなく・・・。


 見るだけで特に何かを買うことはなかったが、俺が知らない宝石以外はだいたいの相場も分かったし、まだ太陽もちょうど真ん中の位置だしギルドに向か・・・今気づいたけど太陽の数はちゃんと1つなんだな。異世界だから2つかもとも思ったけどそういう訳じゃないのか。月は2つだったり、3つだったりするのかな?


 そういや、ギルドに入ったらすぐに絡まれるとか、煽られるとか、そんなテンプレはあるのかな? いや、今のレベルだとあったら普通に負けそうだけど・・・。テンプレはあるのかないのか考えつつ、俺はギルドへとゆっくり歩いていった。



 ☆★☆



 冒険者ギルドは盾の上に剣がクロスしたありきたりなマークが目印の大きな三階建てのレンガで造られた建物だった。これまた建物もありきたりだなと思いつつも、冒険者ギルドの扉を開ける。


 まず目の前に飛び込んできたのは「受付」と大きな文字で書かれている看板とその列に並んでいる冒険者と思われる人たち、そして、その冒険者の対応をしている受付嬢たちだった。しかし、昼だからなのか並んでいる人たちの数は少ない。


 右側にはよくある酒場が併設されていて、そっちにはある程度の人数が昼間からお酒を飲んで酔っていた。左側には「討伐証明」と書かれた看板があり、その下には黄土色の機械に冒険者と思われる人たちが宝石のようなものを入れている。左側だけはよく分からないが、とりあえず列の1つに並ぶ。


 テンプレと呼ばれる絡みは全くと言っていいほどなかった。変な視線も感じない。そもそも視線を感じる能力なんて無いが。列に並んでいる間にギルドの中を見回してみる。


 よく見ると、受付の隣に依頼掲示板もあった。これはやはりあるらしい。いや、ないと困るだろう。いちいち受付に並んでクエストを受けていたら面倒だろうしな。そうこうしているうちに、すぐ自分の番になった。


「ようこそ冒険者ギルドへ、本日はどのようなご要件でしょうか?」

「これを・・・」


 俺は先程ノルドさんにもらった蝋で封をされた黒い手紙を受付に出した。受付嬢は驚いた顔をしながら「お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」と尋ねてきたので、「亮太、亮太 高橋です」と俺が答えたら、「少々お待ちください」と言って受付の奥にいる上司だと思われる人に何かを話して、礼をした後にこちらに戻ってきた。


「ギルドマスターは現在忙しく、代わりにサブマスターがお会いになるそうですが、それでもよろしいでしょうか?」


 別にサブマスターでも困ったことにはならないだろうし大丈夫だろう。ギルドマスターが忙しいのはたぶん普通だしな。


「はい、大丈夫です」

「それでは応接室までご案内致しますので、私の後についてきてください」


 俺が了承したことに安堵の表情を浮かべた受付嬢の人はすぐにピシッとした顔に戻り、歩き始めたので、俺も言われた通り後ろについて行く。応接室にはすぐに着いた。


「サブマスター、『最後の1人』のリョータ様をお連れしました」

「入ってくれ」


 声が聞こえた後に受付嬢が扉を開け、中に入るように促される。中を覗くとソファーとテーブルが中央に置いてあり、他にも細かい装飾の類はされているものの、簡素という言葉が出てくる程度にしかされていない。


 その部屋に入ると、「お茶をご用意致します」と言って、受付嬢は部屋を出ていった。すると、サブマスターであろう人が立ち、自己紹介をしてきた。


「初めましてリョータ殿。私がこのギルドのサブマスターを勤めさせていただいているアレクシアだ。よろしく頼むよ」


 サブマスターのアレクシアさんは、赤髪ショートの力強い綺麗な女性だった。しかし、荒々しいという訳ではなく、人を守るような、騎士のような人? だろうか。(騎士ではないんだろうけど)挨拶をされたので、俺もそれに返す。


「もう私のことを存じ上げているようですが、自己紹介をさせてi・・・」

「そこまで堅苦しくなくていいよ。私も騎士の家系に生まれたからそういうのは覚えさせられたが、ウンザリでね。サブマスターをしている間の私はあくまでも「アレクシア」だ。普通に接してくれ。私もそちらの方が助かる」


 あれ? おかしいな。万が一異世界に来た時のために恥を忍んで敬語の練習とかしてたのに役に立たない・・・。冷静に考えるとその時の俺の思考の方がおかしいと思うけど。ま、まぁタメ口でいいのならそっちの方が俺も楽なので、お言葉に甘えさせてもらう。


「では、お言葉に甘えて。俺は高橋 亮太と申します。気軽に亮太とでも呼んでください」

「わかった。私のこともアレクシアと呼んでくれ。早速だけどリョータくん、説明を始めさせてもらってもいいかな?」

「はい、もちろんです。アレクシアさん・・・でいいですよね? さすがに呼び捨てはまだ無理です・・・」


 グラシアンと違って歳もしっかりと離れてるって認識できるぐらいに離れてるからな・・・さすがに年上に対していきなりは無理だ。そういえば殿からくんに変わったな。


「さんぐらいならいいが、ですますはできれば無くして欲しいかな?」

「善処します」


 俺が信用ならないランキングでも上位に入る言葉であろうことを言ったところで、アレクシアさんがソファーに腰をかけつつ、俺にも席に座るよう促したので、俺も腰掛けた(失礼しますは言わなかったけど問題なかったらしい)


「サブマスター、お茶とお茶菓子をお持ち致しました」

「ああ、入っていいよ」


 まるで俺たちが座ったタイミングを見計らったかのように受付嬢が戻ってきて、紅茶とクッキーを置いたら「失礼しました」と言ってすぐに退出していった。


「さて、今度こそ説明を始めていこうかな」

「はい、よろしくお願いします」

「じゃあまずはギルド、正確には冒険者ギルドについての説明をしていこうか」


 俺は、うんうんと相槌を打ったり、たまに紅茶を飲んで喉を潤したり、たまに人がやって来て紅茶を足してくれたりなどがありつつ、アレクシアさんの話しを聞いた。情報量が多く、脳がパンクしかけたが、なんとか最後まで聞くことができた。


「これで冒険者に必要な知識はだいたい揃ったと思うよ。それからこれを」


 アレクシアさん2時間ぐらい話してるはずなのに元気だなと思いつつも、手渡してくれた資料? だと思われるものに目を通す。


「どうしてこれを先に渡してくれなかったんですか?!」


『冒険者の基礎知識』と書いてある資料を見て思わずアレクシアさんに言ってしまった。

 すると、アレクシアさんはニッコリと微笑みながら言った。


「通常は冒険者になりたての人たちには個別ではなく、集団で週に一回このような講習がある。その時に使う教科書を勇者ように改造した特別版のようなものだ。しかし、その教科書だけでは危険性がそこまで伝わらないと思うから、私が特別に講習をしたわけだ。もちろん他の3人の勇者の方々にもした。いくら勇者といえどもレベル1では簡単に死んでしまうからな。実際、私から話しを聞いたことで危険性については認識できただろ?」

「はい」


 俺は頷いた。確かにこの書類を読むだけじゃ、結局ゲームとシステムは同じなんだなとか思う程度でゴブリンあたりにでも突っ込んで死んでいたかもしれない。


 実際初心者がゴブリンに突っ込んで死ぬこともあると言っていたしな。そう考えるとアレクシアさんにわざわざ説明してくれたことには本当に感謝することだろう。


「なら、私が説明をした意味もあったってことだ。さて、私からの話しは以上だけど、何か質問はあるかな?」

「いえ、特には大丈夫です」


 もらった資料もあるしね。


「じゃあこれからは冒険者として頑張ってくれ、それと、これがさっき言っていた冒険者カードだ。最初はGランクからだが頑張ってくれ」

「ありがとうございます」

「またね」


 俺はアレクシアさんから灰色の冒険者カードを受け取り、お礼を言ってカードと資料を道具袋に入れたあとに冒険者ギルドを後にした。時間もいつの間にか日が沈み始めていたので、宿屋に向かうことにする。クッキーを食べたとはいえ、昼ごはんも食べていないからそこで早めの夕食でもしようかな? とか考えながら地図を見て場所を確認して、宿屋『黄金の小麦亭』に向かった。


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