第1話 異世界召喚
初めての投稿ですので、間違いなど多々あると思いますがご了承ください。
「んん?」
俺は目が覚めると、見知らぬ場所で寝転んでいた。床が固かったので、起き上がってみると、足元が幾何学的な模様を描いて輝いている。
辺りを見回すと、なおさらここがどこかわからなくなってしまった。まず目に飛び込んできたのは、周りに立っている白いローブを纏った人たちである。
レンガ造りの壁に、高そうな絵も飾られている。窓からは月明かりが射していて・・・で、ここどこ? と、俺がノリ突っ込みをしていると、
「勇者様! どうか私たちの国を救ってください!」
ローブの人たちの間から、ピンクのドレスを纏ったお姫様のような雰囲気をもつ少女くらいの子が開口一番そう言い放った。
「勇者? それは僕たちのことですか?」
俺の背後から若々しい声が聞こえてきた。振り向いてみると、そこには、俺と同じ高校の学生服を着て立っている人たちがいた。それを見て俺も慌てて立ち上がる。
「いきなりなんなんでしょうか? それとここはどこなんでしょう?」
「そ、そうですよ! ここはどこなんですか!?」
と、声を遮るように女子2人組が質問をする。
「ここからは私、宰相のノルドがお答えしましょう」
白いローブを纏った人たちの中でも、ローブにも金の刺繍が入り、お偉いさんのような威厳のある白い髭を蓄えた背の高いおじさん改めノルドさんがそう言った。
「この国はミースガーナ。他族との戦争に巻き込まれ、人間の国はここを残しすべて滅びてしまいました。だから、勇者召喚の儀式を行い勇者様がたを召喚しました」
ノルドさんは野太い声でそう言うが、具体的に俺はなにをすれば言いのだろうか。この展開は異世界転移で間違いなさそうだし、勇者としてなら、ほぼ間違いなく
「戦えってことですか?」
俺がそう思ったときに、男子のほうがそう質問していた。
「はい」
そうノルドさんが頷きながら答えると、
「あの質問なのですが戦うと言っても私たちは一般人なのですが?」
冷静そうなほうの女子がキリッとした表情をしながら質問すると、
「すでに自身のステータスをご覧になったのですか?」
「ステータス? あ・・・」
聞き覚えのある言葉だと気づいたときにはそう口にしていた。
「そう、ステータスです。ステータスは、…いえ見てもらったほうが早いですね。心の中で『ステータス』と言ってみて下さい」
そうノルドさんが言うと他の3人は早速試したのか、(早すぎるだろ)後ろから
「おおっ!」
「すごいですね!」
「なんかいろいろでてきた」
驚いている声が聞こえてきたので(さっきの心配はどこにいった)俺も試してみると。
「おおっ!」
俺の目の前に白いスクリーンがてできてもう1人の男と全くもって同じように驚いた。
名前 高橋 亮太
職業 強化使い
種族 人間
ランク 1
ランクボーナス なし
魔法 なし
スキル 強化(通常強化、コレクトブック)
異世界対応
称号 強化使い 異世界人
ステータス
Lv 1
HP 300/300
MP 100/100
SP 500/500
ATK 100
DEF 100
AGL 100
INT 100
EXP0 NEXT10
お金 0G
目の前に少し透けている白のスクリーンが浮かび上がった。しかし、他の3人も見ているようだが、俺がそれを認識することはできないらしく、おおよそ俺が見てるものも他人からは見えないのだろう。しかし、この俺のステータスは高いのか低いのか…。
ラノベとかだと、よく圧倒的な数値または何故か言葉で書いてあるっていうのがテンプレなんだが、見たところそういう感じでもなさそうだし。男子のほうは理解しているのか頷いているのは分かるが、女子2人組も頷いているのには驚いた。いや、最近は男女関係なくラノベ読んだりゲームしたりするか。
でも、そういうの読んでたりやってたりしてた反応じゃないだろ1番最初。そう考えたところで女子とか男子とかいうのもいちいち面倒だしおかしな話だと思った俺は、名前を思い切って聞いてみることにした。
「いまさらだと思うけど3人とも名前は? 俺は高橋 亮太」
「そういえば自己紹介がまだだったね。僕は佐々木 真守」
佐々木さんは頭が良さそうで、真面目感が伝わってくるが、それでいて身長も高く、爽やかな感じの青年だ。普通にイケメンだと思う。
「私は斎藤 苺花」
斎藤さんは、凛とした感じで腰まで伸びた髪とメガネをかけており、身長は俺よりもちょっと高いぐらいだが、優等生感がひしひしと伝わってくる。当たり前のように美少女である。
「えっと私は伊藤 歌音!」
伊藤さんは、茶髪のショートボブ? でふんわりした雰囲気となんだかやらかしそうと思うような雰囲気を纏っている小柄な女子である。もちろん可愛い。
この3人に対しての俺こと高橋 亮太。顔は良くも悪くもなく、運動はできない。頭も良い方だとは思うが、天才的というほどではなく。微妙という感じである。好きなものは異世界ものの小説と、色んな種類のゲームだ。身長は160cm程で、体重は45㎏で軽いが、それでもこの3人に対してキャラが薄い。モブである。
それとやはり気になったのは、俺たちの強さである。数字も見た感じ数千、数万いってるとかいうレベルではないし、いや、普通が5とか10とかなら圧倒的だが、
「俺たちのステータスってどの辺りにいるんだ?」
「聞けばいいんじゃないかしら?」
俺がつい声に出してしまったことに対し、斎藤さんがそう返してきた。わからなければ聞けばいいかと思いつつ、少しの間放置してしまったノルドさんに対して質問する。
「それもそうだな。っとすいません、この国の人たちの平均ステータスはどのくらいですか?」
と俺がノルドさんに聞くと、ノルドさんが1枚の文字が書かれた紙を取り出した。
「レベル1で、戦士や魔法使いですと、このようなステータスが平均的ですね」
ノルドさんが見せてきた紙には俺たちの見ているステータスのようなことが書いてあるものだった。
戦士
HP 100
MP 10
ATK 25
DEF 25
AGL 15
INT 10
魔法使い
HP 100
MP 30
ATK 10
DEF 15
AGL 15
INT 30
しかし、これを見た俺は首をかしげた。思ったとおり別にそこまでかけ離れてるわけではない。自分のステータスと交互に見比べるがある程度強いとは思うが、最強とかいうレベルではない。ただ、気になるところはスキルについての説明がないことと、SPの表記がないことか。
「あれ? SPは?」
「ホントだ。ないね」
「確かに。SPの表記がないですね」
佐々木さんたちも、表記がないことに気づき首をかしげていた。じゃあどういうことなのかと、話していたので、
「勇者だからじゃないの?」
俺は当たり前のようにそういったら、その発想はなかった。とでも言いたそうな顔をしてきたので、いや、そういうことぐらい異世界ものとか読んでる(予想)なら気づけよと思っていると、いつの間にか佐々木さんがノルドさんに質問をしていた。
「1つ質問なのですが、なぜSPの表記がないのですか?」
「SPですか? 勇者様がたにはそのようなものがあるのですか?」
「はい、どうやらスキルに関係あると思うんですけれど」
「すきる? ですか? そんなものがあるのですね」
こう聞いたとき、俺はうんうんと頷き、納得していた。ノルドさんのスキルの言い方を聞く限り聞いたことがなさそうなので、やはりこの世界ではスキルは基本発現しないのだろう。
「何かご存知ありませんか?」
「すいません、申し訳ありませんが聞いたことがないですね。それは勇者様の特殊能力かなにかなのでしょうか?」
「はい、そんな感じのものだと思います」
「さすが勇者様ですな」
この会話を聞いた時、俺は疑問を持った。それは、ノルドさんがスキルのことを知らないのにすぐに特殊能力と気づいた点だ。
もしかしたらこの世界にはスキルという名称は普及していないがなにかしらの特殊な能力があるという事なのだろう。それがスキルなのか、それとも他のなにかなのかはわからないが・・・。
「聞いてきたけど、スキルがなんなのかはわからないらしい。それと、全員スキルを持っている前提で話していたけれど、みんなスキルは持ってる?」
「うん」
「ええ」
「持ってるぞ」
やっぱり、3人とも異世界ものの小説とか漫画は読んだことないのかもしれないけど、ゲームなどをやっているのかもしれない。というのも、スキルなどのいわゆる用語を聞いても疑問を抱いてなさそうだからだ。伊藤さんのほうはよくわかっていないからかもしれないが。(失礼)
「ちなみに僕のスキルは武器ノ主と異世界対応で、武器ノ主はあらゆる武器を召喚し、操り攻撃を行うことができるスキルで、異世界対応は、異世界の言語を書いたり読んだり聞いたりしても理解できるようになって、重力や大気圧の変化などにも耐えられるようになる。って感じだけど、多分異世界対応はみんな持ってるよね?」
「じゃあ次は私の番ね」
質問を無視して話し始める斎藤さん。ちょっとは気にかけてあげた方がいいんじゃないの? ちょっとダメージくらってそうな顔しちゃってるよ?
「私のスキルは守護像と異世界対応よ。守護像は、ゴーレムを召喚して、味方を守らせたり、敵と戦わせるスキル。だけど、移動速度自体は基本的に遅いみたい、異世界対応は佐々木さんが言っていた通りよ」
結局最後まで質問を無視した斎藤さんは恐らく守備系の能力で佐々木さんが攻撃系だと思うと、バランスがいいな。
「え~と、私のスキルは、領域ノ主と同じく異世界対応で、なんか地面? を動かしたり、環境を操作できる~って書いてあるけど、試さないとよくわかんないや、でもなんか強そう!」
そんな感想を抱いた伊藤さんであるが、実際強そうだ。攻め、守りときて、これは分類するとしたら妨害だろう。そうなると最後の俺は名前からして支援、補助だろうか。
説明はたぶん画面をタップすれば出てくると予想したので、押してみる。すると、ピコンという音とともに予想通りに画面が切り替わった。
強化
道具や人、あらゆるものを永久または一時的にに強化できる。強化するにはSPと素材を使用するほか、特殊な方法で強化するものもある。
通常強化
道具などを素材を用いることによって強化することができる。
最大強化値 +10
登録本
存在するあらゆるものを収納し登録する本。ただし生物は収納できない。登録した数だけ自身が強化される。
見てみると、自分でもわかるほど微妙な顔をしていた。佐々木さんたちが派手そうなスキルなのに対し、俺のだけなんか地味…説明も一言だしステータスの上昇とかインフレゲーっぽいし、ハズレでは無いことを祈るがっと、あまりみんなを待たせるのも悪いので、とりあえず説明。
「俺のスキルは、強化と異世界対応で、強化は、道具や人などのあらゆるものを強化できるスキルらしい。異世界対応は佐々木さんと同じくだ」
と俺まで説明が終わると、佐々木さんが、ノルドさんにこの後どうすればいいか聞いてきたところ、そのことについての説明があるので、聞いてほしいとのことなので、ノルドさんの声に耳をかたむけるが、話が長かったので要約すると。
1つ目、個々でパーティーを作りレベル上げをする。
2つ目、軍資金として300万Gをもらえるらしい。これは、明日城を発つときに渡されると言っていた。
3つ目、最悪、戦争に出なくてもいい。どちらにしろ300万Gはもらえるとのことだ。こんな感じだ。
俺もいくつか疑問に思ったことがあったがそれはすべて佐々木さんが代わりにすべて質問(佐々木さん万能説)してくれたのでそれもまとめると。
4つ目、戦争に参加する人はおよそ3ヵ月後あたりにあるにで、1月前にはこの王都に集まっててほしいとのこと。もちろん報酬ははずむといっていたので、やっぱり国としてはでてほしいのだろう。
Q なぜ個々でパーティーを作るのか。
A 環状に敵が攻めてきたときに、1パーティーだと守りきれないので、個々で作ってほしいというのが1つ。それに、勇者パーティーなんてものを作ってしまうと火力が高すぎてこのあたりのモンスターは瞬殺してしまうらしい。
だから力の分散も兼ねているらしい。これは、俺も納得できたが、次の質問の答えには驚いてしまった。
Q なぜ戦争をしなくてもいいのか。
A 俺たちを異世界から召喚しているので本当に嫌ならこれ以上迷惑をかけたくないから。異世界ものというかこっちの世界でもそうらしが、王様も貴族も基本的にはクズしかいないが、俺たちが会った王様は、すごいお人好しらしい。
お金も300万Gというたぶん大金だと思われるものをなにもしていないのにくれるし、戦争に参加しなくてもいいって、ここまでくると裏があるとみてもいいが、とりあえずは国民をみてから判断してもいいだろう。と今日あった話はこんな感じかな。
実は、この話をまとめている間にも、佐々木さんたちとはある程度打ち解けて、佐々木さんのことは真守と呼び捨てになった。未だに、苺花さんと歌音さんはさん付けだが。
その後はメイドさんの案内で、寝る部屋に案内された。しかし、俺ももう疲れていたので、渡されたパジャマに着替えたらベッドに飛び込んでそのまま寝てしまった。