第9話 大爆発!
2年以上ぶりに投稿しました! おまたせしている人はいないとは思いますが、読んで頂けると嬉しいです!
「よし、小石を限界まで強化してみたぞ」
「どこ向いて言ってるの?」
「おお、すまない。こっちだったな」
「それで、何か変わったのか?」
「見た目も変わらないし持った感触とかも変わってない、つまり、何も変わってないということだ」
まさかの事態だった。リコリスに出してもらった岩をほとんど消費してできたものは小石+7。確かに+値が増えて強くなってそうだが、ステータスの数値なんてものは結局出てくることは無かった。が、しかしこのまま終わる訳にもいかないので、できることは試してみる。まずは強度だ。
「リコリス、これと同じくらいの大きさの石をいくつかお願いできないか?」
「はい、できた。もう少しリョータは友達のように接してもいいんじゃない? 私みたいにさー」
「わか・・・おっけー」
食い気味にリコリスがそう言いながら、5つ同じような小石を出してくれた。俺はそれをできる限り了承しつつ、もらった小石で先ほど強化したはずの+7の小石・・・どれだ? まじで形が似すぎて見分け付かないんだけど。
「ん? 亮太どうした?」
「どれが強化した石かわからなくなった☆ と思ったけど、スキル使って名前見られるじゃん」
「自☆己☆解☆決」
お騒がせしましたー。と言いつつも小石1つ1つに通常強化を使ってデータを見ていくとすぐに見つかった。この何の変哲もない小石が+7だ。早速この小石、もう石でいいや。この石に他の石を思い切りぶつけてみる。すると、パァーンという音とともに火花が散ったかと思うと、投げた方の石は粉々に砕け散ったが、+7の方は割れるどころか傷すらついていなかった。
「すげぇ! 亮太が思い切り投げつけたはずなのに傷1つついてない! かなりの靱性を誇るんだな」
「ああ、そうらしい」
「これだけでもかなりの価値があると思うよ!」
多少興奮気味に言ってくるリコリス。俺も落ち着いている感じにはなっているが、内心意外と強いかもしれないと思い始めていたこともあり、結構ワクワクしていた。
「じゃあ今度は逆に叩きつけてみるか!」
「はい、石」
「ありがてぇ!」
リコリスから渡された石をありがたく受けとり、地面へと設置(置くだけ)する。今度は逆に石+7の方を持って石へと思い切り叩きつけるように投げた。すると、予想だにしていないことが起きてしまったのだ。
石と石が触れ合った瞬間、視界が白に染まったかと思えば、俺は耳をつんざくような轟音と全身に走るこれまで感じたことがないほどの衝撃と共に空へと打ち上げられてしまった。その後になにかを考える暇もなく、俺の意識はすぐに闇へと落ちていくのだった。
☆★☆
「だい・・・で・・・か」
声が聞こえたような気がした。が、しかし俺の意識はほとんど覚醒しておらず、その声に俺が気づくことはなかった。
「大丈夫ですかー?」
「んあ?」
2回目の声にはどうやら気づけたようだ。しかし、まだ俺の意識は深いところにあるようで、さっき起こったことまでは把握・・・、そうだ。さっき確かものすごい音と衝撃があった気が・・・
「良かった、リコリスさん! リョータさんの意識が戻りましたよ」
「本当ですか! ありがとうございます、アルナさん!」
「いえいえ、困っていたらお互い様ですから」
「リコリスは大丈夫か!?」
俺が先ほどあったことを思い出して顔を上げながら声が聞こえた方を見ると、そこには特になにかあった様子のないリコリスと、白髪・長髪の女性が話をしていたようだった。
「私の心配より、自分の心配をしなよ。亮太、このアルナさんが来るまで酷い怪我だったんだからね? アルナさんが爆発音を聞いて私たちのところまですぐに駆けつけてくれなかったら今ごろ亮太死んでたよ?」
真剣な顔をして話すリコリスからその事実を聞いて本当に? と思いながらも、よくよく考えてみれば意識が落ちる前に全身に感じた衝撃と、痛みを感じる前に気絶してしまうようなことを考えると、俺が相当酷い状態にあったことは本当のようだ。
「でも俺、そんな酷かったのか? でも今はなんともないのはアルナさんが相当の実力を持った治療師だったからだとして、今の話を聞く限り、リコリスはそもそもダメージを受けてなさそうなんだが」
「そうだよ。亮太の言う通りアルナさんはかなりの実力者だよ。あそこまで酷い怪我をあっという間に治しちゃったんだし」
「あれはリョータさんの運が良かっただけですよ。全身に打撲と火傷を負っていましたが、骨が折れている箇所があまりなかったのと、折れていてもそのまま光属性魔法をかければ綺麗に繋がる位置にあったからここまで早い救助ができたんです」
アルナさんは謙遜するとともに俺がどれだけ運良く怪我をしていたのかを説明してくれた。自分で聞いてみても俺はかなり運の良い部類だったらしい。
「そうだ、私がダメージを受けていない理由だけど、やばいと思ったら咄嗟に壁を作ったんだよね。おかげで無傷だったわけ。でも、亮太のことまでは守れなかった。ごめんな」
「いやいや、あれはシンプルに予測不可能だし、突然のことだったから仕方ない。逆に爆発なんかに巻き込んじゃった俺の方が謝らないとだよ」
申し訳なさそうに謝るリコリスにいやいや、謝るのはこっちの方だと告げ、頭を下げる。
「ごめんなさい。俺に出来ることならなんでもするから、許してください」
「ん? 今なんでもするって?」
「なんでもするとは」
「じゃあパーティーとしてこれからもよろしくね」
一瞬不穏な空気が漂ったが、リコリスが文をぶった切ってくれたおかげで事なきを得た。俺としてはこんな事故を起こしてしまったのに本気か? と思ってしまったが、俺はなんでもするって言ってしまったし、本人がそれを望んでいるのであれば仕方がない。
「これからもって言うほど長くないどころか今日初めてあったくらいだけど、改めてよろしくな」
「えぇ!? こんなに仲良さそうなのに今日初めてあったんですかぁ!?」
「「あっはははは」」
事実を知ったアルナが驚いた顔を見た俺とリコリスが笑ってこれでめでたしめでたしと思っていたが、自分が作ったクレーターを見てうぇぇぇぇぇ?! なんて声をあげて今度は笑われる側になったことは真守たちには内緒だ。
そのままアルナさんは次の仕事があるからと行ってしまわれた。そして俺らはと言うと。
「あの石もう1回作ってよ!」
「いやぁ、でも危険だと思うんだけど・・・」
リコリスが懲りずにあの石をまた作ろうと言ってきたのだ。そりゃあ安全に気をつければ大丈夫だと思うし、俺の意識が戻る前に怪我やらなんやらをアルナさんが治してくれたおかげでトラウマなんかも残っていない。なんら問題はないと思うが・・・
「やっぱり危険だと思うんだよなぁ」
「どうしてそんな神経質になってるの? 私が壁をあらかじめ作って置けば大丈夫だって! 今度は近くじゃなくて遠く狙えばさ! それに、奥の手持ってるとかかっこよくない?」
「確かにかっこいいな、やっぱりやるか!」
俺も男の子だ、剣と魔法の世界には憧れを抱いていたし、だからこそ異世界ものとか俺TUEEEE系とかもよく読んでいた。今まではできるだけ異世界で生き延びるために調査やらなんやらやっていたが、この際もう冒険をしてもいいかなと思ったのだ。冒険者だし。
てことで早速実験の再開を俺たちは始めたのだ。リコリスがぽんぽんとあっという間に石を作り、俺がそれをさっきと同じ+7まで強化する。そんなことを繰り返し、いざ4つ目を作ろうとしたところで事件は起きた。
「ん? あれ?」
「どうしたの亮太? 早く量産して実験しようよ!」
「いや、なぜだかわかんないんだけど、スキルが発動しない。あ」
そういえばと思い、俺は急いでステータスを確認してみると予想通りのことが起きていた。使えなくなるまで忘れてたけど、スキル使うにはSP消費するんだったァァァァァァ!
SP 8/500
俺のステータス画面は残存SPがほぼないことを示していた。と同時にもうひとつ気づいたことがあった。そのままステータスを下の方まで見ていくと
EXP7 NEXT10
EXPの値が7に上がっているのだ。朝方グリーンスライムを倒しているので、それの経験値だろう。あと、1体でも倒せばレベルが上がるというところまできていた。異世界のはずなのに本当にゲームみたいな上がり方するんだなぁ。とは思っていたが、ステータスがある小説が多いこともあり、特に違和感は感じなかった。
「亮太まだー?」
「ああ、ごめんごめん。SPが切れてたから使えなかったみたいだ」
「なるほどねー。じゃあ仕方がないし、3つしかないけどこれで実験しようか」
「そうだな。まずは・・・」
実験1 モンスター相手に使ってみる
対象は今回3回目の登場となるグリーンスライム。選ばれた理由はあまり動きが遅く、また、基本的にこちらが危害を加えない限りは大人しいので、遠くからでも狙いが定めやすく、また気づかれても問題ないためだ。さっそく狙いをつけて投げる。
「おいしょっと」
キーーンという音を響かせながら、グリーンスライムへと一直線に飛んでいった石は、途中から火を纏って空気を焼きながら着弾すると、同時にドーーンと爆発を巻き起こした。その爆発は20m以上は離れている俺たちの方まで熱気がきたくらいだった。
「す、凄い威力。俺あんなんくらったのか・・・」
「石を投げただけでこれなんだから、本当に凄いよ! 数はあまり用意できなさそうだけど・・・」
より近くで見てみようと思い、俺とリコリスはゆっくりと近づいていく。まだ熱を放っているようで、1歩進む度に周囲がより熱くなっていく。そして、クレーターのすぐ側までやってくると、まぁまぁ汗をかくほどの温度になっていた。
石の引き起こした爆発は半径2mほどのクレーターを作り、グリーンスライムなんかは跡形もなく消し飛ばしていた。しかし、よくよく見てみるとクレーターの中心にはなにやら石のようなものが・・・
「なぁリコリス、あの中央に見える石って・・・」
「魔石だね。あれだけの爆発を受けたのに魔石は無事なのはなんでなんだろうな?」
「やっぱり魔石か、無事な理由は俺も一切見当がつかないけど」
俺は魔石を取り出して観察しながら答えた。色も形も大きさも朝に倒したグリーンスライムとよく似ているので、やはり同じ魔石らしいが・・・。
「ちょっと取ってみるか」
「いや、まだ結構熱くないか?」
「大丈夫! 大丈夫!」
俺が大丈夫か? と思っていたが、次の瞬間リコリスが氷を作りだして地面を冷却し、魔石を取ってきたのを見ていると、リコリス俺のこと凄い凄い言ってくれるけど、リコリスの方が絶対凄いし汎用性高いだろ。と思う亮太であった(自己ナレーター2回目)
まだ亮太は気づいていませんが、実はレベル上がってます
名前 高橋 亮太
職業 強化使い
種族 人間
ランク 1
ランクボーナス なし
魔法 なし
スキル 強化(通常強化、登録本)
異世界対応
称号 強化使い 異世界人
ステータス
Lv 2
HP 318/318
MP 108/108
SP 534/534
ATK 109
DEF 104
AGL 107
INT 106
EXP1 NEXT30
お金 2703200G