少し残ったワイン
柴田はやけにうるさい捜査一課の部屋と入っていた。二課では用がないのではない。たぶん、必要なのだろうが、声を上げることを好む人じゃないからきっと望んで協力しなかった末の地位なのだろうと思った。黒崎が慌てていた。あたふたしているのだろうから。
「どうかしたのか。」
「どうかしたという話じゃないんですよ。一課長と奥さんが死んでいるのが発見されたんです。自宅で届け物のワインに手を付けたという感じです。鑑識もみな、突然のことで一課長の家にいます。行きましょう。」
現場を見ろと言わないばかりにしているのだ。届いたものをすぐに開けて飲んだというのは気が知れる仲なのだろう。それかタイミングが合って飲んだのだろうか。覆面のパトカーに乗って黒崎の運転で行った。つくと捜査員であふれかえっている。鑑識の主任も淡々と仕事をしているのだ。
「状況はどうですか?」
「高価なワインですよ。その中に青酸カリが入っていたという感じよ。グラスからは出てきていないのを考えると入っていたを知らずに飲んだってものね。かえってからじゃないとわからないけど架空の団体じゃないと思うわ。」
一課長に情がない分、やりやすいのだろう。刑事たちは奮起しているのはまるわかりだ。過去の事件の天罰が下ったとしか柴田には思えなかった。不正に加担しておきながら逃げを選ぶことをすることだってあり得た。組織という守ってくれるものの言うことを全て聞くものじゃないのだと。
「黒崎、今から一応団体のことを端的に調べてくれ。こんな贈り物をする習慣がもともとあったのかというのを。」
「あったんでしょう。じゃなきゃ、躊躇なく開けているのとつじつまが合うんです。昨日の話を聞いている一課長にとっては自分が狙われていることを言ってあるでしょう。」
夕食中に起きた悲劇を描いていた。ホシの狙いはきっとすぐにわからせないことだろう。誰も爆破事件とつなげようとはしないだろう。するのは一課の黒崎と二課の柴田という異質なコンビくらいだ。
「あと言っておくけどね。簡単に見つかるとは思わないわ。指紋は調べるけど出てくるとは私は思ってない。手袋をしている可能性だってあるんだから。高いワインだって言ってもそこそこの値段よ。バカみたいに高くないわ。」
主任は見方が刑事並みなのはいいことだろうがこのことで刑事に煙たがれるのは知ってのことだろう。アドバイスをもらった人間は検討はつく。けど、あの人は未解決事件に必死だから。関係ないというだろう。




