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泣いた烏  作者: 実嵐
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紙もならない

柴田は黒崎を飲む度に一瞥するだけだ。テレビの世界をしているのに・・・とか言われているとか思ったりするのだ。逃げ道を選ぶ人間は自己保身をしたいがためなのだ。掌返しをしてかかわっていないふりを演技をするのは不可能なのだ。むしろ、関与が疑われるのが最後なのだ。

「事実の隠蔽には口止め料がかかってくるんだ。藤田製薬会社の裏帳簿にははっきり名前があって立花がそれを見たとしたら・・・。二課にはわかることだが、あいつはある程度の資料を目を通しているのだろう。」

「立花さんがホシだと考えているんですか?」

彼の疑問は図星であるためにあまり声を出すつもりもなかったのだ。演技もできない素人がみじめな演技を評価するに値しない。偉そうに座っても金も出さない。むしろ奪っていく。平然な面をしてね。泥棒だよね。戦争をしたいなら1人でして人が巻き込まれないようにしくれないと困る。とばっちりを受けるのはどっちにしろこっちなんだ。」

ぼやきはいつの間にか政治へと変わっていた。組織としての根本が腐っていれば行動も腐っている。鷺を烏というように。言いくるめられると思っていたら大違いなのだ。過去にとらわれているのは政治家だ。すぐに後ろを振り返る。そこに武器があればいいがむしろあだになっているのすら気づかないみじめで大人の恥を大きくさらしているのだ。

「いうのは簡単だ。証拠を見つけ出さないとホシだといってもあざ笑って終わるくらいだ。」

「それくらいわかってますよ。単純そうに見えて複雑ですよ。涼しい顔していられるのは今だけかもしれないです。」

つまみを箸でつついていた。旬だ言われているものを食べてもうまいとも言わないのだ。無味乾燥な状態を選んだのだろうか。嘘を嘘だといわないことを正気だと思われるは嫌で仕方ない。

「藤田の恨みは尽きないだろうな。他の狙われた企業はすっかり忘れて今になって怯えているのもおかしいけどな。それならキチンとしていないといけないことを思ってしまう。」

建前だけの処分は処分じゃない。うまいこと運命を回ると思うのは勘違いだ。政治家を中心に回っていると思っているのか笑顔を見せているがバカじゃないかと思ってしまう。外交すらできない。もてあそばれる総理大臣の何処に惚れるのだろうか。七光りの光に目をくらんでいるのだろうから正しい判断をままならないのならやめてしまうのが一番いい選択だ。人の迷惑が掛からない立派な判断だ。それもプライドだというのならつまらないプライドだ。


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