事実の隠蔽
路地に突っ立っていても時間が止まることはない。黒崎は時が止まっているのだろうと思った。
「此処はあかないのだろうから、近場のチェーン店のほどほどのうまい店にでも行くか?」
「行きます。けど、柴田さんのおごりでお願いしますよ。」
彼は聞こえたのだろうか頭を縦動かした。不定休と名乗っているだけあって、いつ開くかもわからないのだろう。突然、開けたりすることもあって困っているようだと思った。ビルの地下にあって立地には正しいのだ。入ったら浮かれた連中を声が響いている。無論、非常を楽しんでいるのは正気なのだろうが・・・。個室に入って飲み物を頼んでつまみを底知れず頼んで沈黙があった。
「さっき、わかった話をするぞ。面白くもない話だ。」
「なんですか?」
「トカゲのしっぽ切だ。政府が守っていた犬をリードをキチンと取っていたけど、邪魔になって外すことを決めたらしい。公務員が自殺しているのにエレベーターで知っているとだけ伝えるのは情のない人間だ。関係者はいくら国に勤めていた人間だとしても政権の邪魔になれば人として扱われないのが定義なんだろうな。」
柴田のぼやきは嘘にまみれていない本音であるようにつぶやいた。トカゲのしっぽ切といっても無限にあるわけじゃない。店員がビールをもって来たので乾杯といえる雰囲気ではなかったが、うわべで言うだけにした。
「意固地になっているのはきっと政府のほうですよ。嘘にまみれても異論を言わないことをいいことに動ける駒を粗目に扱っていて裏切らつつあると思っているんですよ。黙認が全てと思っているのはとんだ空想を繰り広げているとしか思えないんですよ。」
上の圧力に逆らう能力もない、疑問を自分でもみ消したところで何も生まれない。警察が雑な初動捜査によってつぶれてのうのうと生きているホシのように。
「大臣っていうのは肩書だ。しょせん、誰も守らない力を発揮しているのに誰も問わない。疑わない。人がいくら死のうと改善されるどころか悪化を選ぶ。そんな奴らだ。初心貫徹なんて言葉もあってないようなもの。謙虚なんて言葉言ったけどどれだけ続いたか覚えているか?」
「2~3日ですかね。そんなの守ったなんて戯言を言っているようにしか思えません。」
冷たいビールを流し込むように飲んだ。疲れを思い出した。藤田製薬会社にいた社員は恨んでいた。
「話変わりますけど、藤田の立花の件どう思います?」
「あれは・・・な、他殺だ。それを警察が補助して自殺と断定した。あまりにも遅すぎる。何か騒動は起きていなかったことを考えると忖度がいっぱいだ。くだらない。人の死を扱っているのに雑にするのは胸糞悪い。1時間の遅れは大きいぞ。通報したのに遅らせたうえに指図を仰いだ協力者が警察にいるのが嫌だね。」




