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泣いた烏  作者: 実嵐
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深く座ったつもり

「どうして主任さんはたっちゃんって呼ぶんですか?」

黒崎に事件のこと以外を問われると思っていなかったらしく少しばかり驚いていたようだった。黙ったままでは進まないと思ったのか頬を赤らめて話した。

「捜査一課ってキャリアを気にする人が多いじゃない。けど、来た時からずっと被害者遺族がとか言って自分を顧みない姿を見て惚れたの。それで最初はノブ君って呼んでたんだけど、本人が一番嫌いな字が使われているからそう呼ばないでくれって言われてそれからたっちゃん。そんなことより昔出回ってた爆弾の設計図が今も何処かであるみたいよ。」

コーヒーをすすっていたカップはいつの間にか空っぽになっていた。鑑識になって捜査一課に絶望したのだろう。出世だとか有象無象の噂に一喜一憂している姿は少なからずいいとは思わないだろう。誤認逮捕ですら居直り強盗にもなれない、人の人生よりも自分の人生のほうが価値があると思っているのだろうと。指紋が出てきたら違うんじゃないかと知ったらしく愚痴を言うものもいるのだから。

「あと追加情報だけど、時限爆弾とかでもなかったみたいなの。何処かで通信しているんじゃないのかな。と少しばかりの推理をしてみてるの。知らせたらダメよ。一課長に怒られるから。」

「起爆のボタンをもっているのなら怪しい人間がいてもおかしくないんですけどね。」

「それが何処の会社の中にある防犯カメラがやられているから挙動不審とか調べようがないのよ。もし被害者になってしまったら検討がつかないのが現実というものよ。」

絵にかいたような絶望を考えるしかないのだろうか。柴田は話を聞いているだけで割込みはしようとはしない。会社には詳しいのは確実だ。二課でさんざん会社の悪事を見てきたのだ。仕切るまでの実力をもっているのだ。

「迷宮入りはあまりしてほしくない事件なのよ。沢山の人が亡くなってそれで調べたけどダメでしたんて無責任なことよ。ホシがただほくそ笑むだけよ。」

あまたの事件を見てきてきっとホシの狙いは何処かに隠されていると思っているのだろうか。政治家みたいに撤回すれば解決するみたいなお粗末な行動を嫌なのだろう。人の死というものの意義を知らない、無知なだけなのだろう。妥当な答えなど見つかっていなくて争うことだけを仕事だと思っているのだろうか。きっとそんな奴には高価な椅子など置物に過ぎないのだ。パイプ椅子で会話すれば絵になることを知ればいいではないかと。



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