合流すると・・・
黒崎とすぐに落ち合って解決するようにと言われたのだ。柴田はうやむやを抱えたまま、捜査一課に行った。目線はすぐにこちらに向かっている。それは何処にでもある冷酷なものだった。そんなものを気にしているのは何もならないと思った。
「柴田君が来てくれた。二課長から話は聞いているね。ていうか、聞いているから知れる内容だろうからね。少しの時間だろうけど一応挨拶してくれないか。」
「捜査二課から来ました。柴田です。よろしくお願いします。」
柄に合わないほど義理堅い挨拶をしたが、冷め切ったものに対抗するつもりはない。むしろそれを好んで訓練しようかなどといったお人よしにいるのだ。
「黒崎、柴田君と一緒に頑張ってくれ。机も用意できないんだ。俺は上から目をつけられているんだ。今回も前回もってことで回復させるためにはどうか頼むよ。」
一課長は言い捨てるようにして背を向けて行った。部下を見ているからこそ検挙率を下げるなんて言う考えに至ったのだろう。政治家みたいに強引に数の力を証明することは好まないのだろう。権力に浮かれて足元をすくわれるのは自分だと知っているかもしれない。手を振っているのは何処か場違いを思わせるのだが、課長になっただけあるのだ。
「黒崎、どうだ。進んでいるのか?」
「いいや、全く。防犯カメラを鑑識で見たけどホシらしき怪しい人間なんて映ってなかったんだ。いつもデータをいじるときは大体判明してから行うことが多いだろう。こういうのは不得意なんだ。」
ぼやきと愚痴を聞いているのだ。黒崎は団体を誇れるほどの価値はないと確信をしているのだろう。落胆しか聞こえない声に耳を傾けるのは嫌になるのだ。
「俺も捜査一課みたいな捜査は初めてだ。ずっと二課で会社の横領とかをしているのを探していたりしさ。最も得意なのは立花なんだ。けど、協力を仰げなかったみたいだしな。」
柴田は最近聞いた話を思い出した。身近な社員ですら子供が生まれたことを隠していた。結婚していたことですら・・・。不信感を抱きすぎているともとれる行動だが、妥当なことを思うことがあったのではないのか。
「藤田製薬会社のことを調べろ。社長に聞いたって今までごまかしていることを考えたら聞き込みを始めるのが速いかもしれない。内部の情報を探っても見つからないことはわかっている。」
一から始めなおすように言っているのだ。それも酷だといわない相手だとわかっている。なんだかんだ言って立花と短期間であったが影響を受けたのは確実だ。
「了解。得意なことだ。そこの椅子に座ってなよ。俺だって伊達にデータとか扱っていたわけじゃない。」
得意な注文は乗り気なのは構わない。ろくな注文をかけているわけじゃない。柴田は気づいた。爆弾の型もわからず進めているのは可笑しいと。




