関心の里
立花の目は新たにもって来た資料を見ていた。退くことにも簡単にしてしまうのだと思い老けたところで変わることはない。
「おい、立花君。来てるぞ。」
資料から目を離さず問いかけた。
「誰ですか?要件もできたら聞いてから判断します。捜査一課の連中でしょうから。」
ドアに顔を向けるようなことはせず、ただ疑問が起きないかをひたすら探していた。見落とすことは罪に等しいのだろうから。浅間は律儀に対応しているのであればいくらか重要なのだろうと思った。
「黒崎君だ。テロ事件の早期解決のために鑑識とかかわっておきたいけど、行ったことがないから気が引けるからついてきてほしいとな。」
「了解です。黒崎、まだ行ったことないのか。」
面倒くさそうに資料を置き立った。そして内容を知っているだけにそそくさといってしまう。黒崎は追いかけるだけのが精いっぱいなのだ。あまり通ることのない少し暗く感じる廊下を通った先にあった。立花は知り合いなのか顔合わすと笑顔の対応だった。
「何か証拠が見つかったの?」
「そういうわけじゃないんだ。ただ、こいつが来てみたいといってな。」
対応している鑑識の主任の女性はたどたどしくなることなく言っているようだった。周りの外野ですら騒がしくない。
「どうしたの?新たな課に映って相棒ができたの。よかったじゃない。」
「違うさ。一時期は相棒だったけど、今は捜査一課のエリート刑事だ。俺じゃかなわないほどに伸びって行ったぜ。」
今、捜査一課が追っているテロ事件の防犯カメラを見ていた。黒崎はいずれいい成果を上げるだろう。捜査一課という居場所を誇らしく思っていればいいと心の底から思った。久しぶりに来ても捜査一課みたいに冷たくはないのはわかっていた。過去の事件を掘り下げっているうちはあまりかかわることはないだろう。
「鑑識も嫌なのよね。捜査一課は仕事を増やすだけでろくに解決せずに投げ出しているし。最近じゃ二課が成果を上げたっていう話じゃない。事件に無頓着になっているのよ。最近、課長を見ていてそう思ったわ。」
「あの人が大切にしているのは立場さ。報われるとか思っているけど、俺をはずしている時点でいくらか機嫌を悪くしているらしいから落とされるか、左遷させられるかもしれない。」
彼の言い方はどうでもいいという感じだった。それでも根本がいいので誰も強く言えないのだが・・・。
「そんな風に言っていろんなところで喧嘩を売らないでよ。いいことなんてないんだから。」
「わかったよ。暇なったら時々くるよ。」
その言葉に主任は満面の笑みを浮かべていた。




