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泣いた烏  作者: 実嵐
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信号機の柱

立花は未解決事件捜査課にいた。青柳亮の事件は時間がたっていることもあって証拠はない。だとすれば、別の事件を追いながら行くのが最も近道のように思えた。暇そうにしている浅間をにらんだが、わかっていないのか大あくびをした。

「浅間さん、あのー両立してやりたいんですが・・・。資料庫に行ってもいいですか?」

「構わないよ。捜査一課にいたころには2つの事件を解決したと聞いている。無駄な行為をしないこともね。好きにすればいい。少ない人数で縛りつけてもいいことなんてないからね。」

過去の経験をもっている分、多くのことを禁止のようにはしないのだ。浅間も一応は捜査一課の刑事だったこともある。見る目だけは一人前にもっているのに上は理解を示さないのだろう。浅間の目はいつもつまらないことをさせられている子供のよう。そんな彼をよそ眼に資料室に行くために立花は出て行った。捜査一課の初動捜査の遅れや杜撰な捜査によって解決できなかった事件が数知れずあるのだ。それ以外にもあるだろうが、とやかく言うと上の権力だけは一人前の行動をとってくるのは億劫だ。加えて外面だけをよくするのも時間を無駄にする。廊下では事件を駆けずり回っている捜査一課の刑事とは特定できないが走っていた。涼しい顔で眺めていたら気が付くとついていた。久しぶりに訪れる古本屋のような気がした。ただ、店主は存在しない。めぼしいものはないかなどと何処かの感情で調べている。事件を調べながら面白いなどと吐く奴の気が知れない。被害者遺族の気持ちをあざ笑った表現であるように思えてならない。立花の目に映った事件の中身を見ながら判断していた。そこに影と死角で判別できないが誰が入って来たようであった。彼は資料を机に置いて去ってくようだった。捜査一課の雑用係だろう。壁に体重をかけて呼んだ。青柳事件と似たような事例だったのだ。これなら何か見つかるかもしれないと心の中で問いかけている。自問自答で答えを見つけてしまえることなどそうないのだ。自暴自棄になっているのとそう変わらない。見つけた事件を手あたり次第かき集めた。手にあふれかえるほどの資料を抱えて部屋に戻ると浅間は驚くことはなかった。構わないことをしているのだと思った。

「頑張ってくれよ。活発に働く部下なんて捜査一課のころくらいさ。此処はしょせん窓際だからな。働いてくれない。むしろやめていく。」

「判断を見間違う経験をしないとダメな人達なんですよ。わからないから。」

「思い込みエリートは何処までもエリートじゃない。形にとらわれたもがくこともあがくこともできないかわいそうな人達だ。」


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