念願
「浅間さんってどうして此処に来たんですか?」
「捜査一課が大量に未解決事件を作り上げては新しい事件に向かう。それを嫌がった上が作ったんだ。俺は捜査一課で邪魔ものとして扱われていたからそのことを利用して入れられたにすぎない。」
冷めた言葉に熱を注いでも温まることはない。課長という位をもらってなだめてもらったのだ。来る部下は次々と来てはやめていく。希望を持たない部下ばかりで絶望に染まったのだ。
「知ってるか?被疑者になった人間は誰からも救われないんだ。利益のためにうわべだけ行う弁護士、立場の悪くなる内容があったらなかったことにする検察、流し読みしかしない裁判官。警察もその中に含まれている。見込み違いのことをしても偉そうにしているんだもんな。」
コーヒーを飲んでいた。一息つくために飲んだのとは意味が違うように思えた。テレビでは垂れ流すように騒いでいる。同情のふりをしている隣人。誰を信用して生きているのだろうか。根本が腐った人間が作り上げたのが正義という権力とかでものを言わせるものなのかもしれない。でっち上げであるのを悪びれない姿は居直り強盗にもなり切れていない。間違いに頭を下げることができない。同じことを繰り返すことを勝手に了承を得ていると思っているのだろうか。
「それだからこそ此処にいたいんです。」
「ダメだ。決まったことだ。俺は決定権はないに等しいからな。立花君は嫌がるだろうな。だから、誰も聞き入れないのが正しい答えだよ。」
立花の机には青柳の事件の資料が散らかっていた。調べものが得意であるからといってそれだけをさせることはなかった。聞き込みの基本をさせてくれた。歩いて探すことが見えてくるのだといっていた。
「俺は捜査一課にいても回ってくる事件にかけずり回ればいいんですか?」
「そうだ。上の決断は絶対という世界に行くんだ。此処で少しの免疫をつけておかないと他のところに飛ばされるぞ。上に逆らえるのは立花君だけという噂が広がっているようだけどね。」
窓は雨が降った後の結露が張り付いていた。曇って遠くを見えない。かすんでいるように・・・。それに逆らったらならないという元を知らない。利益のために動いている。
「立花さんは身内に偉い人がいるんですか?国会議員や代議士とか。」
「いないよ。身内なんて。彼は養護施設で育っている。此処までくるのに頼って来たのは自分だけだよ。そこらの警察とわけが違う。自分で開拓している分評価も高いそうだよ。」




