偽りの記述
「なぜ、君は刑事の癖に俺に突っかかってくるんだ。会社の経営は関係ないことだろう。」
つばを飛ばすほどの逆上にしか見えなかった。社長はわかりえない震えに巻き込まれているとしか思わなかった。
「いくら暴力団とかかわっていたとしてもですか?名前を挙げることも可能ですよ。知名度が高いことは株にはいいかもしれませんが、1つの傷は深かったりするものですよ。」
立花は偉そうにふんぞり返っている背中にとやかく言う必要はないと思った。人の命を救うことにいとわないのは何も言わないが、雑に扱うのは出るだろう。パソコンの中身を調べ挙げるまではあまり顔を上げることをよしとはしなかった。
「暴力団に人殺しの薬を提供して金を稼いでいたんでしょう。暴力団は何に利用していたかというとネットに自殺したい人に渡していたようですよ。いくら名前を変えたとしても中身は同じなんですから。幹部も捕まっていますし、俺は軽くデータを見ただけであるデータをいじったことがわかりますから・・・。」
社長はぐうの音も出なかった。社長の目が見開いたのはあるデータという単語なのだ。彼はいったい何者なのかと。警備員に手伝ってもらって警視庁に社長は連れていかれた。弱った顔には輝きのかけらは残っていなかった。
「立花さんはどうして薬剤に詳しいのですか?」
「少し興味があってな。独学で勉強しただけさ。大概の内容物くらいはわからないと困るだろう。」
道の端を歩いているとしか思わない人間が武器をもっていることを知らず、傲慢な奴に武器をちらつかせているのと同じだ。エントランスに戻ると柴田が急ぎ足で来た。
「立花、お前お手上げだな。やっぱり俺はお前と組みたいな。客観的で納得のいくことを理論を話しているようでな。」
柴田は藤田製薬会社という名ばかりが進んでいった会社を背を向けた。柴田は力加減を知らないくらい立花の背中を豪快に叩いた。警視庁に戻れば藤田を上げたことの話題が浮かぶだろう。
「そうだ。飲みにいかないか。」
「最近行ってないな。二課に来てからだから結構行ってないらしいな。行くか。」
口約束の作り上げをしているのだろう。柴田の笑顔は晴れやかだった。対照的に立花は下を向いていた。漏れた言葉は救いようのないほどぬれていた。何によってぬれて何でふき取ったのかなんてわかるはずがない。嘘を畳みかけるようなやましいことは誰を救うのだろうか。正義なんてうわべの畳みかけであっていいのだろうか。嘘の言葉がある決意を鈍らせているのだろうか。




