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泣いた烏  作者: 実嵐
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過去の代弁

屋上から一課長から遅れて降りた。立花は一課長が下手に裏切りでもしたら俺はいかないということもわかっているから従うだろうと思った。外の景色の変化のなさにどう問う方法もないが・・・。外は変わらなくても機械ばかりの進化を得ようとするのはいかがなものかと・・・。

「此処にいたのか。立花。」

声のするほうに振り返ってみると柴田が立っていた。何か用があるのか何処か神妙そうな顔をしていた。

「俺を探したのか。」

「そうだ。未解決事件捜査課に行ってみたら浅間さんしかいなかったからな。黒崎はどうした?」

立花は雲の動きが漂っているのを見ていた。眺めても眺めても変わりえないことの無念さを感じた。

「一課長と浅間さんとかが協力して俺や黒崎をおろしていたことがわかってな。問いただしたんだ。それにあっさり吐いたから。黒崎に考えろって言って休ませただけだ。一課長からはさっき謝罪を受けたところだ。柴田はどうして?」

「藤田製薬会社を明日行くことに決まったからな。一応内部にスパイがいないかとか悩んでいるからあまり公にしないつもりだ。」

柴田の声は心配に思っているのかやさしさに包まれていた。目も同様であったため、立花はいたたまれない気持ちにさいなまれるだけだった。行き場のない気持ちがあふれるだけで処理をする場所がなくなっているのだ。

「柴田も大変だな。大きな事件にかかわるのは苦労をさせられるばかりで何をしているんだろうな。」

「深く考える必要はないさ。抱え込んで行き場をなくすほうが迷路にはまったみたいで困るだろう。お前もならないようにしないと困るぞ。」

キチンと処理をしなかったばかりに処罰を与えられた人間がいるのだ。自業自得であるのに正当化に時間をかけて何も守れなかった。自分の仕掛けた爆弾にあっさりはまって自爆を食らったのだ。部下を守るはずが遠慮なく傷つけたのにそれすら理解していないようだった。無駄な正当化は時を嘘で染めて救いを求めることもできなかったのだ。自己防衛もままならないのに他人の所為にするのだから笑えるのだ。勘違い上から目線をしていったい何がしたいのだろうか。ろくに手順を踏まずに正当化は偽りを隠すための作業のようにしか映らないのだ。人の代弁してもらっているのに・・・。

「お前らしくやって行けばいいんだよ。むろん、他人のプライドなんて儚いことが多いことくらい理解済みだろう。」

立花はほほえみを返した。世の中の穢れてもよけることも得ることも・・・。



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