レッテルのはがし方
立花は息抜きに屋上に上がっていた。景色といってもビルに囲まれているだけで上を見上げたところで変わるものなのないのだ。フェンスにもたれかかってみても心変わりするわけではない。部下の失態を認めずに人の所為にしてきっかけを作ったことを隠そうとしているのだろうか。それで何が変わるのだ。口先だけの攻防をするのならやめてしまえばいいのとおもってしまうのは間違いだろうか。
「此処にいたのか。未解決事件捜査課に行ってみたけどいなかったから来たんだ。」
柴田の手には2本の缶コーヒーがあった。たわいのない話をしたといっているのと変わらない。さりげない行動で読み取ることができるのだ。彼は缶コーヒーを投げた。立花はタイミングよくとった。
「うまいな。それより一課長に喧嘩売っても大丈夫なのか?」
「あれは喧嘩売ったわけじゃないからな。ただ、可笑しいと思ったことを言ったに過ぎないんだ。それを認めたのは一課長なんだ。俺じゃない。」
プルタブを鳴らす音がした。苦味を感じながらも甘味を探る気持ちがあった。柴田は笑っていた。らしいと思っているのだろうか。
「それでいいじゃないのか。黒崎のことは考えているのか。」
「あいつのためなら捜査一課に戻すのがいいと思っているんだ。あっちのほうがいくら嫌でも出世はできるだろう。必要にされているのに気づきやすいだろうから。」
「黒崎には伝えているのか?」
立花は冷たく寂しそうに笑った。飲み干した缶が乾いた音を立てていた。恐れていることはないのに・・・。柴田は多くは問わない。
「あいつは明日から休暇を取ったからその時に一課長にいえばいいだろう。俺には逆らえないだろうからな。事件を解決できずに嫌なレッテル貼られるのは嫌うはずだから。」
「お前がいいと思ったことをすればいいさ。藤田製薬はその休暇中に入れようか。」
無謀ではないかと思ってしまう。それか情報が入っているのだろう。
「大丈夫なのかよ。藤田製薬には裏の指揮官がいるとか言われていたし。それも警視庁の中だという噂だ。そいつに知られたら一貫の終わりだ。」
柴田の表情は厳しい顔になった。過去に起こした行動が無駄になってしまったことを思い出したのだろう。悔しかったことを今でも忘れていないのだ。
「確実な日時をまだ決めていないんだ。確定もしていないから俺次第といわれているんだ。二課長が決定権を俺に託すって。失態は二課長自身が背負うって。」
「いい上司だな。経験だ。」




