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泣いた烏  作者: 実嵐
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張り付いてしまったのは・・・

菊岡の言葉には理念が見え隠れしていた。ラポールにいるのは仮の宿であったのだろう。居場所もなくして作られた施設に入れられるのだろうから。

「料理が冷めるのは嫌ですから食べてください。昼ですが、飲みますか?」

「私はいいです。」

「遠慮はしないでください。俺も飲んだってかまわないんですよ。店だって言ったって個人店で大半は常連しか来ないんですよ。」

冷蔵庫を開けて缶ビールをちらつかせた。誘惑のようにしているのだろう。彼女の目は湿っていた。何もしていないのに泣きたい気持ちになるのだ。養護施設はあくまでも居場所を示すためにだった。けれど、かえって来るのは数少ない人達だけなのだ。完璧になる必要はないのに完璧になりたがっているのが多いのだろう。テーブルに缶のかんかんとはねた音がした。

「貴方は此処にいるような人じゃないんですよ。もっと大切なことがあるのはわかっているのだろうな。貴方はまだ未完成なんですよ。もっとある地図の分かれ道なんて・・・。」

「もう少し悩んじゃえばいいんですね。わかりました。」

無理やり解決へ向けているのだろう。祝いの言葉にたるものがないのだ。うわべがなくなった時にいるのは権力だろうか。無知に近い無知なのだろうか。

「ある程度の無知は強いんですよ。知識が全てではないんです。経験があればの話ですがね。」

「そんなくだらないことも言うんですね。菊岡さんはもっと熱い人かと思ってましたが、違うものなんですね。」

飲み切った缶ビールをテーブルに軽く叩きつけた。見えない光を探しているのだろう。

「もともとかかわってきたのが此処にいた奴ですから。なんだかんだ言ったって世の中に無条件に恨む、憎むものですよ。」

告げ口をするかのようにつぶやくのだ。終わっていないことに勝手に切りをつけてしまっているのだろう。救いを求めても世の中から排除をかけられることがあって信用に値しないのだろうから。

「性に合わないやつは抑えきれないやつに至っては闇の世界に落ちていくのですから。闇の組織に属して後悔していることがあるのだろうからね。此処に来ないだけで帰ってこれないことも全てがいいのだろうから。」

闇と現実のはさみつぶされそうになって逃げているのだろう。逃げ道をそばで整えはあるのだろうか。世の中からは軽蔑する目に見られてしまってかかわるのだろうから。小さなときからの経験がしがみついてしまったのだろう。とることがままならないのだ。

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