糧の果ての栄光
「俺はさ、少なからずあいつはまだ消えていないと思うよ。」
手際よく料理を作っている彼には迷いを感じることはできない。料理人になってホテルまで行って修行したほどだ。伊達なものを作るはずがない。上のほうまでのし上がったが料理長との関係が悪化してやめざる負えなくなかった。ついてこれないやつはいらないというのが料理長の理念だった。有名ホテルということだけあってちやほやされているうちに不正をやっていることが内部告発でばれて料理長はいなくなってしまった。その時に戻るように声を掛けられていたが店も出来上がっていたので断ったがいまだに籍を開けてあるという。
「そう。けど、達樹もホテルに戻ろうとは思わないの?安定もしているから。個人でやっているときより安心できると思うの。」
「嫌だな。一応は手際とかを見られていたんだとしても図に乗った姿は嫌いなんだよ。愛情とか言っているけどどこかでなくなったら元も子もないじゃないか。それに食材を偽ったようなホテルの回復は簡単じゃないのはわかっているんだ。」
嘘に嘘を重ねさせて都合が持たなくなってからやめたので当分傷がついたままになるだろう。そんなことを考えなくていい個人店でいいと思っている。
「そろそろできたから呼んできてよ。冷めたら困るから。」
彼女は何も答えることなく呼びに行った。数分後にはバタバタという足音が響いていた。軽くしかるだけなので治らないのだろう。そわそわしている空気と寂しさを混在させた空気に誰もとやかく言うことができない。
「南さん、お疲れ様でした。これからも保育園などの研修を頑張ってください。資格もね。大変だけど選んだ道なのでしょう。」
親のような言葉に胸がぎゅっとされるのだ。南はどう答えたら正解なのかわからなかった。
「有難うございます。頑張ります。」
ワイワイした場であるために言葉はかき消されてしまった。子供たちにとっては食べ物に興味があるのだろう。しかるのは雰囲気によくないとよしているところもあるのだろう。南に菊岡が声をかけた。
「此処に勝手に未練なんて作らないでくださいね。貴方はあくまでも経験の一環で来ただけでそれ以上は望んでいないんですから。」
「けれど・・・。」
「貴方はまだ保育園や幼稚園の経験をしていないからわからないだけです。くだらない考えを持たないのが貴方のためですよ。」
彼の手には苦味を抱えたお茶を握っていた。何時か此処に戻ることを目標にされたら困るのだ。いずれわからなくなって逃げだされるのは・・・。同情だけじゃわからない。できないことが多いのだと。




