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泣いた烏  作者: 実嵐
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囚人からの伝言

重々しい空気を勝手に書き立てているようにしているのだろう。立花は面会がさほど大きな出来事と思っていないのかすがすがしい顔をしている。

「緊張しているのか。」

「それはそうですよ。死刑囚に会うんですよ。喧嘩を吹っかけてくるかもしれないじゃないですか。」

「たいていの言葉を真に受けたら怖いかもしれない。けどな、手順があるんだ。それに従えばいいってものだ。」

プラスチックの前にあるパイプ椅子がどこかお粗末な感じに思えた。向かい側からノックの音が聞こえた。入って来たのは意気消沈なんてものを知らないくらいのあっけらかんとした細身の男性だった。支給されたものを着るしかなく、することがないのだろう。パイプ椅子に大きな態度で座るといった。

「今更刑事とは何ですか?俺の無罪であるという証拠が見つかったんですか?」

彼の態度は人をバカにしたようなあざ笑うように畳みかけた。立花は聞いたのかというくらい無視をしている。

「お前が無罪であるということを示すものなんてないんだ。ただお前はある人物には心配をしているな。青柳玲。幼馴染の青柳亮のことを聞こうとしたのだが、聞く人を間違えたか?」

立花が立とうとすると声で制した。黒崎は2人の読めない展開にバタバタとするしかない。

「亮のことですか。じゃあ事件は解決したんですか?」

「まだだよ。これからだ。情報収集をするしかないんだ。彼のことを知っているところまで教えてくれ。」

何処か疲れた表情がきらめいた感じがした。釣りをして魚が釣れたと確信をしたときのようだ。

「亮は亮のおふくろさんが逃げてきたんだ。DVに受けていたから生きるすべとしてね。母子家庭となって住んでいるところを隠すために水商売をしていた。それでいじめを受けていたよ。高校でなくなったけど。元旦那の田代が来たのはあいつが中学生の時だ。ちょうど遊んでいたときに上がり込んでいた。金をあさって逃げて行った。最初は盗人からだ。そこから少しずつ居座ろうとしていて追い出すときに事件が起きたんだ。」

「大体読めてきた。それで青柳亮が無戸籍のことは知っているのか?」

玲は大きくうなずいた。何時知ったのだろか。タイミングを逃せばわからなかったはずだからだ。

「小学校の時、役所に行ったときだ。あいつのおふくろさん、知り合いの人がいたのか話を盗み聞きをしたら無戸籍であって正式にするのにはもう少し待ってほしいとか言って頭を下げていたのをね。」

ほとぼりが収まったらキチンとするつもりであったのだろう。それから高校1年の時にいなくなったのだ。心配しないはずがない。

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