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泣いた烏  作者: 実嵐
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資料の名前

俺は保管庫に向かう。捜査一課から外れたとか無駄な絶望は感じなかった。捜査一課を眺めるように見るとふがいない集団のようにしか思えなった。暗く遠く感じることはない。あざけるのはいったい何について笑っているのだろうか。コツコツと革靴といっても高額な靴は買えないので合成の高く見える靴を鳴らした。資料保管庫と書かれた孤島のようだった。ドアを重々しく開けた。古本屋のような独特な香りを放っていた。

「こんなに未解決があるなんて落胆しかないな。」

全てを眺められる角度を探しても見つからなかった。鉄の棚は警察の行動にしか思えなかった。突然、光が入って来たのに俺は驚いた。

「お前か。飛ばされても活動意欲があるのは感心しないね。未解決事件捜査課は縮こまっていればいいんだ。」

「楠は人の心がないんだな。此処にあるのは警察の初動捜査などの原因でホシが見つからなかったり、天気が突然顔を出していることもあるんだ。人が解決できることはしていかないとならない。被害者遺族は救われない。それを示しているんだよ。組織のためだなんて二の次以上かもしれないな。」

逆光で顔が見えないのだろう。楠は手にもっている資料を机に置いた。捜査一課が逃げた事件といえる。

「立花、立場が分かっているのか。お前はもう捜査一課じゃない。付属だ。屈辱じゃないのか。」

「それで人が助かるのか。愚問を説いたところで一人でも助けることが可能なのか。」

考える前に怒りを全面に出してしまった。くだらないことをしているとしかおもえなかった。俺はしまったと思って下を向いて時間が流れるのを待った。

「お前のことを捜査一課長に言っておいてやるよ。今すぐにでも俺の目の前から消えてもらうほうが俺も助かる。情で人が助かるはずがないからな。」

楠は逃げるように迷惑なほどの音を立てて出て行った。彼は小学生に思えた。誰かに言いつけて組織が動くのだろうか。全ての挑発に動くのは時間や行動に無駄が出てくるのだ。俺は楠がおいていった資料に目をやった。棚にしまいながら気になる事件があった。どうしてここにあるのだろう。何故解決できなかったのだろうとしか思えなかった。早期解決できそうな内容であったからだ。裏にはどんなことがあるのだろうか。ただの好奇心でつかんだ。俺の人生に問いかけるようにしてくるのだろうか。切り取るようにしているのだろうか。資料は断片的にしか見せているのだろうから。俺の心を突き動かした。

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