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泣いた烏  作者: 実嵐
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アングルと哲学の違い

沈黙に沈んでいる狭い部屋は光の導き方もわからない感じがした。タイミングがわからないのか軽快なノックの音がした。返事を主がする前に開けてた。見たことのある顔と絡みがないために知らない顔もちらほらいた。

「あー、イーさん。突然来るとはどういうことですか?」

「どういうこともないだろう。久しぶりに愚痴を吐き出して気晴らしでもしないとやっていけないだろう。アーさん。」

呼ばれた人物は縦にうなずいていた。名前ではなくあだなであることは明らかなのだが、なぜここでするのかということを思ってしまう。

「リングさんは変化はありますかな。」

「立花君が未解決事件に動いているのでね。アーさんのところがまさか藤田を狙うと思いませんでした。」

土足で上がっているように見えるが、薄い壁が透けて見えてしまうのだ。狭い部屋に定員がいっぱいの感じだ。ドアを閉めた。

「どうしてあだなに呼ぶんですか?」

「あぁ、そうやな。課長というのは入れ替わるやろ。それで名前を呼ぶとあからさまやから。警戒をされるのを避けたいのが本音やな。何処も話す場所がないから。此処でするんが基本や。てか、決まりや。」

人懐っこい関西弁でしゃべる二課の課長は悪気のない笑顔を見せていた。コーヒーはセルフだというので勝手に進めている。黒崎は事件のことを調べておけばいいのだ。

「太陽のところは今日は来てないですよ。どうせスリとか万引きに駆り出されているのでしょうね。」

たわいのない話から切り出しているのだろう。ソファには温かさがにじみだしていた。

「テレビで秩序を乱している奴が偉そうにしていますね。下っ端ということも忘れて持論と傲慢の塊って感じですよね。」

「そういうやつが組織とかいうのを豪快につぶすのが決まりよ。巻き込まれてんのは案外部下やで。これで帰る場所もなんもかんも奪っていっているんやで。おかしな話やろ。」

がははと愛想のない笑いが響いた。此処でするのはきっと世間話だけじゃないことは黒崎には読めているので黙ってみているのが面白いと思ってしまう。

「政治も不可解な否定をするし、偉そうにしている人間が壊しているのを見守るとかの問題じゃないですよね。」

イーさんの静かな声が静けさが増すどころか挑発するかのように笑いを誘っていた。不快な顔をするものは此処には来てはいけないと思った。コーヒーが冷え切ってもなお時間を忘れ話す姿は同窓会のようだ。議題のない会議は時間を忘れるというのだろう。

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