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泣いた烏  作者: 実嵐
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薬品管理

空調がなっている部屋は何処かでむなしいと黒崎は外を見ると上からでは見えないものがあるのだと思った。浅間は疲れ切ったのかソファに寝ていた。静まり返って部屋にコツコツとノックの音がした。

「どうぞ。」

控え目な笑顔をした男性だった。入口に突っ立ているのはいけないと思ったのかそっとドアを閉めた。どうすることもできないのか話題を出すにも上げることができず悩んでいると唐突に声がした。

「立花はいないんだな。」

「はい。何処に行くとは言わずに出て行ったのでわからないんです。そういえばどちら様ですか?」

照れ臭そうに笑って誰も使っていない回転いすに座った。黒崎にとっては知らぬ新人かと思っていた。コーヒーを渡すと戸惑いを隠しきれないのか躊躇しながら受け取っていた。

「捜査二課の柴田といいます。そうか、捜査一課の時の話とか聞いたことがないのんですか。どうせいつもの場所で俺たちにはわからない責任を勝手に背負っているんだろうな。伝言を頼んでいいですか?」

その言葉に黒崎は慌ててメモを取り出した。出ずらいボールペンを紙にガシガシとしていると浅間は眠気眼で起きた。

「あぁ、柴田君か。前は頼み事をして悪かったね。」

「ほんとですよ。あいつは自分の殻に入っていて扱いにくいだけで根はいい奴なんですから。」

「わかっているよ。捜査一課の噂通りで驚いたくらいだ。それで用事は何だね。」

彼を差し置いて勝手に話が進んでいるので戸惑っている。浅間の表情は生き生きしているのは思い違いだろうかと思ってしまうのだ。

「捜査二課が藤田製薬株式会社の家宅捜索に入ることになったんでその時は連れていきますよというだけですよ。」

「ちょっと待ってください。捜査二課と未解決事件捜査課は全く関係ないじゃないですか。どうして立花さんを連れていくんですか。」

「不思議ですか。俺には不思議じゃないし可笑しくもないんですよ。」

黒崎の問いに答えのか答えになっていないのかわからないような返しをしてきた。厄介だと思うだけだろう。

「そうか。二課には伝わっているのかね。」

「はい。だいぶん前から話をつけてありますから不安になる必要はありませんよ。」

「では、頼んだよ。事件は黒崎君にデータだけじゃない追い方も教えてもらっているから実践できるね。」

浅間の目は不安と期待の入り混じったものだった。彼は戸惑いながらうなずいた。何度も何度も。

「藤田製薬がもう少ししたら落ちるのか。時間とはすごいな。」

浅間は柴田の顔をまじまじと見ながらしみじみとつぶやいた。

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