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泣いた烏  作者: 実嵐
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データの影

黒崎はもくもくとしている。浅間の姿は偉大だとか思うことはない。何故、突き放されそうになっている人間のそばにいるのだろうかと思った。

「浅間さんは捜査一課にいたということなんですけど、相棒はいなくなかったんですか?」

「そりゃいたさ。けどね、不幸にも事件に巻き込まれてホシに殺されたんだ。殉職だ。死んで位を上げられるんだから。」

テロだと騒がれた事件にかかわっていた。彼は嫌だったらしい。投げ出すように見えたからだ。相棒はやる気に満ちているのを見て戸惑いしかなかった。そのあと殺されたのだ。

「それって悲しいじゃないんですか。だって相棒ですよ。」

「じゃあ君は楠君が殉職して悲しいなんて思って事件を追うのをやめられるか。やめられないだろう。」

「俺はもともと楠が嫌いだったんで2人で行動することなんて少なかったですからね。普通なら止めに入るようなところで傍観者だったから嫌気しかなかったんです。」

苦い顔をした。楠は出世をしなければ一人前じゃないと思っているのか、昇格試験に受けまくっているが落ちているのだ。それがあまりにも戯言のように映ったのだ。そんなことに時間を割くよりやることは目の前に積まれている。よけるように避けるようにすることは性が許すはずがない。

「俺も嫌いですよ。楠さん。だっていつも偉そうな癖して大概有力な情報は立花さんがもってきていたことのを自分の手柄のような口調で言うんですから。頼まれても断ってましたよ。むしろ立花さんのほうがいいからね。見つかりましたよ。管理に関与していた企業。」

憎まれ口をたたいていた扉ははじけた声へと入れ替えをした。パソコンを見た。大手の住宅会社だった。駅の開発や商業施設が作られる計画をしていたためにアパートの建設を依頼をしたのだろう。地価の値上げにきっと予測で複数作っていたが今や衰退の激しい地域になっている。盛り上げ役の駅ですらさびれていたのだ。

「行くか。黒崎。ついてくるか。俺は面倒くさいぞ。」

「構いませんよ。俺はお手伝いできるのなら喜んで行きます。」

「変わった奴だな。大概の奴は嫌がって放っておいたというのに・・・。そういうわけでアパートの管理していた企業に行ってきます。」

浅間に声をかけると軽く手を挙げた。許可を得ることができた気がした。俺がドアを開けて出ていくとそれを追いかけるようにちょこまかとついてきた。捜査一課で活動しなかった理由が見えてくるようだった。

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