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泣いた烏  作者: 実嵐
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嫌々な足取りで警視庁へと向かった。柴田の言っていることは一緒にいた時間がそこそこであったため、無条件とまではいかないが嘘をつかないと思っている。ただ、浅間の態度はあっさりと嘘をついてしまうものだと思っている。それは変わりえない人間の目の前に浮かんでいるものに食いついてしまうことはないなど言えないからだ。なんだかんだ思っているうちに未解決事件捜査課と書かれた札を見た。最初に来た時はさびれていてみすぼらしいと思っていたが、違和感を覚えるほど輝いていた。冷たかったドアが温かみを勝手に感じ取っていた。

「立花君、ごめんね。来た時にそっけない態度しかできなくて・・・。理由があってね。」

「柴田から聞いてます。貴方がそこまで言うのなら俺の追っかけいている事件について調べてください。」

「調べものは黒崎君が得意なんだ。捜査一課では全てというほど請け負っていたみたいだ。君にとってはいい人材だろう。彼は君に憧れて捜査一課に入って絶望しかなくて此処に来て喜びを得たみたいだから。」

黒崎は黒縁の眼鏡からニコリとした。捜査一課で窓際でありながら他の奴らに重宝されていた。

「俺、立花さんと相棒だった楠さんが嫌いだったんです。だからあの人の指示は聞いてませんでした。貴方からの指示なら喜んで請け負います。」

「君は何処かの業者から派遣されてきたのか。」

受け答えがあまりにもどこか業者の口調だった。その言葉を聞いて浅間は笑っていた。来た時にはなかった雰囲気だ。

「それじゃあ青柳春香と亮がすんでいたアパートの管理人を探してくれ。アパートがあった場所は駐車場になっていて。」

「その事件はマスコミが嗅ぎまわっていたこともあって警察も雑にできないとか言って調べるのやめた事件だからな。」

パソコンをカチカチと鳴らしている。腕は確かなのだろう。浅間は資料を手にして読んでいる。忘れている部分があるのだろう。

「この事件に興味を持ったのは謎が浮かんでいるからだろう。」

「そうです。家族間の事件は大概ホシは身内なのでわかるんです。日本人は計画性が少ないので指紋などが残っているにも拘わらずホシは逮捕されるどころか行方不明です。その家族の息子も行方不明って疑問しか残りません。息子は無戸籍であったことは当時の新聞を読んでわかってます。解決できるはずの事件が解決できないのは何かあるとしか思えなくて・・・。」

浅間の口を挟むことなくただうなずいていた。謎が何を呼ぶかは知りえることなどない。

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