過去の置き去り
必死に探し出そうとしている黒崎の集中力はすごいものだ。捜査一課が手放そうとしたのは間違いであるといったのは立花だ。少しのやり取りで見つけるのだ。
「此処、周辺では講演会があったみたいです。」
「誰がやると書いてあるんだ。」
「藤田製薬会社の社長です。講演内容が薬の勧めだなんてあります。此処に残っているのは人が来なかったことで注目を集めたようです。当時、週刊誌の記者が藤田製薬会社の関係者によって殺されたのではないかという噂がマスコミですからかなり広がっていたようです。」
黒崎が言っている状況というのは簡単に思い浮かべやすい。バッシングを受けたのだろう。事件の真相を知っている記者が死んだとなるといわれては困ることがあるといってるのと大差ない。
「場所は?」
「区民ホールです。時間は書かれていません。急いだほうがいいと思います。」
柴田は車を動かした。彼の隣で黒崎は電話をかけていた。相手は何となくわかる。一課長兼任の人だろう。組織が腐るのは上の責任の取り方に問題ありとしている人だ。相棒をなくし、歯向かったので下げられたが新たな人間を入れる時間がないから兼任させられているのだろう。ラジオは不協和音のようになっている。アパートが燃えているのだという。立て続けに起きて慌てているという話をされている。それは前に起きた火災がいまだに沈下していないというのだ。
「終わったのか。業務連絡。」
「違いますよ。浅間さんは少なからず近くにいたんですから、来てはどうかと提案しただけです。」
「それでなんといっていた?」
黒崎は前を向いて胸を張った状態になった。何時もの頼りなさそうな感じではなかったのは確かなのだろう。
「向かうといってました。鑑識の主任の話をしたら連れていくとも。あの人にとって位っていうのは勲章であって根本が腐っていては終わるのだと思ってました。組織っていうのは勘違いで人を傷つけているんだとも。」
「あの人は相棒を立花の事件で失っている。自殺してよく頑張ったともいわれなかったみたいで憤慨していたようだ。組織に歯向かったことだけに注目されてね。コマを扱っているとしか思っていないんだよ。死のうが生きて居ようが影響を与えるものは邪魔ものに過ぎない。全ては自分勝手な奴のために動いているんだ。けど、これで全てを変えざる負えなくなる。」
柴田の自信に満ちた声に黒崎は驚いた様子だった。そこまで言えるのは藤田製薬会社での警察の関与を全て週刊誌に漏らしているのだというのだ。正義を語る悪人を取り締まる悪人という名で。




