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泣いた烏  作者: 実嵐
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居場所とよりどころ

きょとんとした柴田の顔があった。わかりえないのだろう。白石を失ったときに警察の行為はあまりに杜撰だった。謝罪会見をすれば済むという考えがあったのか平謝りをしたうえで、こういったのだ。死刑囚とされた誤認逮捕の人は執行されたのだ。悪びれることなく言ったのだ。それを見た信之は言ったのだ。うわべの世界と現実の差だと。

「貴方にはわからないわよね。あの子は死ぬつもりで作ったのよ。動かないことで脅していて打たれて死ねばいいと思ったのよ。」

「それがあったのは何時ですか?」

ズボンのポケットの中にしまってあったのか出したのだ。スケジュール帳を出した。

「今日よ。だけど、時間まではわからないの。2人だけが知っていることだから。」

「それじゃあ場所はわかるってことですか?」

彼の興奮した態度は明らかだった。何かの異変に気付き、来たのだ。それを読み取るしかなかったのだ。

「この近くじゃないかしら。それも覚えていないわ。ただ、あの出来事の大きさを感じたのよ。警察の起こしたものだからね。」

日にちがわかっても場所がわからないと元も子もない。園長は大切な人が多いのだ。外にいる子たちもはしゃいでいるのは此処でしかできないのをわかっているのだろう。話が終わった後、黒崎を呼び、帰ろうとしたとき、柴田の電話が鳴った。

「もしもし。」

「私よ。ごめんね。出かけていると思って連絡したの。」

声の主は鑑識の主任だった。彼女の声はいつもより低く落ちていた。何時ものはじけた声はない。

「どうしたんですか?」

「さっき、たっちゃんから電話があったの。出たらね。全てが終わった。有難うって言ったのよ。返せなかった。・・・私が声を出した時には切れた。」

悲しみの雲が見えたのだ。彼女は言えなかったが彼を愛していたのだ。その気持ちを探ってネックレスを渡したのだろうか。大切そうにつけている。

「彼、きっと死ぬつもりよ。それはわかるの。あと、テレビを見てほしいの。燃えているのよ。帰る場所が・・・。」

「わかりました。見ます。探し出します。」

「柴田君、無茶してはダメだからね。」

彼女からの電話が切れた。黒崎に電話でテレビを見た。そこで取り上げられていたのはP&Bだった。燃えていた。

「今からだけど、探してほしいんだ。今日ということだけしかわかってないんだが、立花が行きそうな場所を探そう。そこには菊岡がいる。」

「わかりました。」

車に乗り込み、パソコンを見た。必死だった。尊敬している人だ。それでも見つけられないのだ。


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