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泣いた烏  作者: 実嵐
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過ち隠し

柴田は園長についていくと応接室に連れていかれた。壁には年代ごとの集合写真が飾ってある。写真を見ているとお茶請けをする人もいないため、園長自身がしていた。

「2人はいつも一緒にいたのよ。波長が合ったとしか言えないけどね。それで部屋も同じにしたの。」

「此処は部屋を与えられるのですか?」

「中学になったらね。共同のパソコンと部屋が決まり。高校を出て大学行くか、専門学校に行くか、就職するかは個人の自由だから。」

彼は外を見ると笑顔で遊んでいる子供たちがいた。痛みを表す子と表さない子との違いも起こるのだろう。ソファに座ると彼女の笑顔が見えた。

「あの子たちがあんなに笑顔なのは久々。2人が来なくなっただけでダメなのね。」

園長から吐き出される言葉は繰り返される。立花と菊岡が来なくなったのだと。頻繁に来ていたのは知っている。子供たちに同じ思いをしているのならと笑顔にしたいと思ったのだろう。

「それで話とは何?くだらない世間話するために来たんじゃないんでしょ。それに信之の一時期の部下でさえのけたのには訳があるのくらいあの子でわかるわよ。」

「ご名答ですよ。立花に対する疑いが深まったんです。それで此処で些細な事でもいいので話をしてほしいんです。」

重い雰囲気にのまれるのが嫌なのか彼女は少しばかりの笑顔を見せていた。近くの棚からアルバムを取り出した。

「たいていのことは本人から聞いているでしょ。それ以外といったらぐれるほうが予想と違ったくらいかな。」

「ぐれると思っていたのは菊岡のほうってことですか?」

彼女は遠慮なく戸惑うことなくうなずいた。

「此処に来た経緯をたいてい話すんだけど、達樹は此処に捨てられていたの。だから、両親に捨てられたことになるの。でも、信之のほうは家族が死んできて親戚の方がえらく詳しく説明をしてくれていたこともあって飲み込むと思っていたわ。」

「だけど、中学の時、2~3週間だけ信之は学校を休んだ。それは栄一のことがあった後だったのよ。」

つながらないとも思っていた事件ががっつりつながっているのだ。休んだのは栄一の影響を受けたことになる。だけど、あまり深い関係であったとは思えない。菊岡の言っていたこととは矛盾してくる。

「その時、爆弾を作っていたみたいなの。出回っていた図で工作とか苦手な子が作ったから。」

「爆弾を作った?それって本当ですか?」

柴田は飛んでもない言葉を聞いたと思った。爆弾を作ったのはそれは理由があるはずだ。

「公にならなかったのは実行する前に達樹が止めたからよ。それで専門家に頼んで調べてもらったら動かないって言われてね。その言葉を聞いたとき、ぞっとしたわ。」

彼女の身震いするような動作に驚いた。動かない爆弾を見て本当ならほっとするのではないか。何故、ぞっとしたのか。


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