積み上げたもの
悲劇は誰にも止めることができなかった。呼び出しのは脅された仲の良い同僚だった。会えると思っていたが来たのは社長だ。ラフな衣装なのに何処か闇が見えた。光のない。だが、彼の後ろには週刊誌の記者がいた。それは藤田製薬を取り上げてもらうつもりでいるのだ。だから何かあったら書いてもらって訴えればいい。社長は自ら手を下すことなく金で雇ったその日限りの奴に殺すように言った。調書に書かれてあったのは通報があってから1時間後に来たのだ。さも自殺と作り上げていた。その妻は自殺はあり得ないと訴えた。その声は刑事には届かなかった。作り上げた妄想の話につじつまが合わないことから消そうとしたが一応残っていた。その後、妻は自殺した。幼い息子を残してまで・・・。
「それって警察の罪じゃないですか?偽善者組織のいいところです。」
「立花は許せなかった。他殺を自殺といったことで何人もの人を殺している。それなのに掘り返さないのは掘り返されては困るからといっているのだ。」
黒崎は隣で立花のことを思っているのだ。柴田は目的地について少しばかりの伸びをした。
「此処ですか。」
「来たことなかったか。立花の生まれ育った場所だ。養護施設。あいつに残されたのは親父の薬剤のノートと2枚のレシピだけ。」
場に合わないくらいの騒がしい声に笑顔になる。何度かあっているのに心が違うと此処まで変わるのかと思う。柴田はネクタイをキチンと占めた。それしかできない。
「黒崎、子供たちと遊んで来い。此処での任務。」
「でも、俺も話を聞きたいんですよ。」
「園長は過去のことを公に話すとも思えない。それにあの子たちは昔の立花と同じだ。わけがあってきている。いずれ世の中の渦に飲まれるのだろうな。」
老婆に笑顔を見せているが、何処かのぞき込まれているかのような目をこちらに向けていた。疑いをかけているのかといっているようだ。中に入った。
「こんにちは。」
「また、来たの。柴田君。隣にいる人は誰?」
「警視庁捜査一課の黒崎です。一時期だけですが、立花さんと一緒に組んでいました。」
黒崎の丁寧すぎる言葉に戸惑っているようでもあった。隠していることは墓までもっていこうとしているのだろうか。
「子供たちと遊んでくれる?あの子たち、信之と達樹がぱったりと来なくなって寂しがっているんだよね。」
騒がしい声に引っ張られるように黒崎は上着の脱いで駆け寄った。そこには家族のようなものが見えた。




