指紋のでき
柴田は捜査一課のソファで寝ころんでいた。黒崎はパソコンで調べている。窓を見ていると晴天という位はわかっても季節は変わりゆくのだ。
「鑑識から連絡はないのか?」
「ないです。しかし、一課長があんな死に方するとは思ってもみませんでした。想定外です。」
彼の感情は信頼していた部下そのものなのだろう。一課長をしていた人を尊敬していたのだ。前日に吐き出してくれて言葉に嘘はないのだから。嘘をつかさればいずれ十字架を背負ったりして抱えているものを見つけるのだろう。
「人の死なんて言うのは神の領域だ。人の領域じゃないよ。殺しとかしなければだけどな。それも行いとか言ってしまえば簡略化したとしか言えないけど。」
「人っての災いを生み出しているんですかね。まぁ、そうとも言えないですけど。俺はこの事件は解決しないですよ。手口もわからなくて困っているのもあるんですから。」
「俺、1回鑑識覗いてくるよ。何かわかったら来い。」
黒崎は身なりを整えて出て行った。廊下ではしゃべっている奴も目につく。それを注意しても何になるのかと思ってしまうほどだ。人には譲れぬものがあるというが、権力とかにおぼれるのはそれくらいの人間なのだと。鑑識の部屋は何処までも追及に求められるのだろうと思った。主任の女性が立っていた。
「貴方は来ると思っていていたわよ。柴田君。」
「何かわかっているのに黙っているのには訳があるってことですよね。」
言いにくそうに彼女は口を閉じている。データを見ているのだ。靴の跡とか調べているのだ。彼女の首元にはネックレスがある。大切なものなのだろう。事件が起きたときは外しているのだ。
「青柳亮が生きている可能性が出てきたのよ。」
「その事件って立花が調べていた事件ですよね。」
「一から遺品を調べなおしているから残っているデータと照合すると出てきたの。生きているとわかっても何処に生きているかはいまだにわかっていない。けど、今回の事件とつながっているとなるとつじつまは合うの。わかるでしょ。」
複数の会社を爆破をしたのは立花と青柳亮となる。生きているのをわかって理由もわかっている。創造はつくものなのだ。
「黙っていたのは立花は青柳をかばう可能性があるということですか?」
「確実にかばうわよ。あの人は生きている価値など知らないのだから。貴方だって知っているでしょう。簡単な話じゃない。早く証拠を突きつけないと死ぬと思うの。」
彼女から出てくる言葉を恐怖としかとらえられなかった。




