プリンをたべましたよ
離れを改造して料理研究に耽るのもいいけれど、子供とのふれあいも大切ですね。
私が食材研究をしている間は、厨房には机とかソファがあって簡易リビングになってるので、そこで娘を遊ばせております。
お父様は錬金術の研究をしてるので、大人しく遊んでねといいつつ、お絵かきやら、絵本やらを用意。
料理が終わったら、試食を兼ねての間食があるのでディアナちゃんも楽しみなようです。
火器やら刃物が多いので注意をうながしつつも、対面キッチン風に作ってるので、様子みながら作業してます。なんだかなつかしいですね。
今日はおこちゃまの大好きなプティングです。
こちらの世界にもあるのですが、どちかと言うとブラウンケーキのような保存できそうな固いのです。
ま、卵を贅沢に使うとか庶民では無理なんで経済的に作りえないのですが、私は公爵なのでできるのです。
最近卵を産む鳥も購入して生みたてを食べられるようにしたのですよ。
牛乳はさすがに無理なんで、高いけど毎日注文配達してもらております。
商人さんにはこんなものをと不思議がられましたけどね。
うっとうしいことも多いですが、さすが公爵ですわあ。
と言うことで簡単プリンを作ります。
鍋にお湯を入れて作ってもらった鉄の型にバターを塗り、カラメルを作り。
そこに卵と砂糖と牛乳を混ぜたものを投入。
様子を見ながら蒸して、串でさして中身がでてこなかったら出来上がり。
あとは容器ごと水で冷ますだけです。
「お父様、本日は何を作られたのですか?」
ディアナちゃんがわくわくしながら聞いてきます。
錬金術の練習といいながら、この間はおはぎを作って食べさせてから、興味を持ったようです。
「今日はとつてもおいしいものだよ、でもこれはディアナと私の秘密だから他の人に言ってはいけないよ、でないと食べれなくなるからね」
「はい」
公爵が料理とか批判されるし、異国のないような物を作ってるんですから、いろいろうるさいことがあるでしょうからね。
と言うことで今回は待つあいだ。
ディアナちゃんとお手玉をすることに、お手玉はもとの世界でもリビアと言う国が発祥で世界各地に広がったとかテレビで見たことがあったのですが、この世界にも似たものはあるんですよね。
あずきに似た豆を手にいれたので、ハンカチをちょちょいと縫って作成です。
これくらいなら召使の仕事を奪ったことにはならないでしょうからね。
貴族が何もしないのは、使用人に仕事を与えるためもあります。
服着せてもらったり、ここまでするのもどうかと思うわけですが、それはそれで高い専門性もあるんですよね。
今で言うスタイリストみたいな、決まりやコーディネイトや持ってる服の種類やら頭に入ってないと主人の服装を任せられませんからね。
召使が細かいとこまで配慮することができるかできないかで貴族の格が決まるわけです。
これはただの贅沢ではなく、儀式であり、政治であるのですよ。
ですから料理とか裁縫とか公式にでるものは触ってはならないんですが、こう言う趣味ならば許されると思うのです。
「いちいちがいち~いちにがに~いちさんがさん~、、、くくはちじゅういち」
ディアナちゃんの見てる前でお手玉しながら、なんかなつかしいわーついついお手玉のついでに歌ってしまいますね。
いや九九ですが何か?前世の私の小学校限定遊戯唄は九九なんですよね。
「お父様?何のお歌なのかしら」
うーん、意味わかんないね。
「これは九九って言って掛け算の唄なんだよー」
「はい」
そしてしばしお手玉をしてから粗熱を取って、少し冷ましたプリンを皿にのせました。
ディアナちゃんは、黄色でプルプルとしたのをじっと見て困惑しております。
この世界は冷蔵設備がないのでこう言うのはないですからね。
「これはプリンと言うのだよ、すごくおいしいからね」
私がプリンを食べると、おそるおそるディアナちゃんも食べます。
そして満面の笑顔。
「お父様、、これすごくおいしいです」
ディアナちゃんが感激してはぐはぐ食べきってしまいました。
貴族の子女としてははしたないけど、私のプリンをちらちら欲しそうに見てます。
かわいいですねー甘いかもしれませんが耐えられん。
「じゃお父様の分を分けてあげます、今回だけですよ」
「はい、ありがとうございます」
ディアナちゃんが嬉しそうにしてたのですが、ちょっといいこと思いつきました。
「ディアナはお作法とかのお勉強で忙しいだろうけど、九九唄も覚えたらまたプリンを作ってあげるからね」
「はい、がんばります」
私も子供のころ覚えたのがずっと役に立ったんだから、ディアナちゃんにも役立つでしょう。
一応ここでおやつを食べてることは使用人のみなさんには伝えてますが、私が作ってることは内緒なのです。




