閑話 ストーカーの恨みはうっとしい。
生きてます。
ロベルト・フレス・オートヴィルは武力でのし上がった侯爵家の嫡男として、幼いころから鍛えられて来た。
頭脳優秀で武芸も抜きん出た彼は、幼い頃から同年代の貴族子弟の間ではカリスマとして祭り上げられたいた。所謂俺様である。
そんな彼は八歳の時に生涯でただ一人愛する女性を見つけた。
公爵家の令嬢が王家主催の園遊会に訪れていたのだ。
儚げな美しさと優しげな笑顔にロベルトは一目で心を奪われた。
何度か公式の場で話すうちに彼女をこれはもう嫁にもらうしかないと意気込んだのだ。
親に頼み込んで彼女との婚姻を望んだ彼に、母が憐れむようにこう言った。
「あの方にはもう婚約者がいらっしゃるのよ、それも王家の方だから・・」
王家の第三王子が公爵家に婿入りする。
これは第三王子を臣下に下すに伴っての措置なので、隆盛な侯爵家がいくら画策したとしても、ロベルトがどんなに手柄を立てたとしても、覆ることのない決定なのだった。
それまで周囲から持ち上げられてきたロベルトには今までの自分の世界が覆されるような衝撃を受けた。
どんなに思ってもチャンスさえない。
王家と自分達貴族の壁をまざまざと感じさせられたのだった。
何年かのちにロベルトは学園に入学した。
学園でもすぐにカリスマ力を発揮して、生徒たちの憧憬を集めた。
その二年後に第三王子であるアシュレイが入学してきた。
憎き恋敵ではあるが、彼女と結婚するなら幸せにしてもらいたいと思っていた相手だったが。
ロベルトが見たのは、女神もかくやの美しさではあるが、陰気にうちにこもった甘ったれた少年だった。
普通の人間ならばその美貌と血統におそれ敬うだろうが、豪胆な神経のロベルトには、気持ち悪い女のような男に見えた。
髭も生やすことのもない。
神経もなよなよして、こんなものが令嬢の婚約者で、自分がこれに負けたと言うことに、憤りを感じた。
アシュレイが第三王子と言うのに馬鹿にして嫌がらせをした。
カリスマロベルトの影響は大きく、アシュレイは学園でいろいろな嫌がらせを受けたのだった。
アシュレイが令嬢と結婚し公爵家に入っても、まだあきらめきれなかった。
娘を産んだと言う噂を聞いても、いつかチャンスをと願っていたのだ。
しかし、ロベルトの愛する女性が失われた時。
ロベルトは王家に対して、アシュレイに対して激しい憎悪を抱いたのだった。
はっきり言ってロベルトは令嬢にとってはどうでもいい存在だと言うことはまったく考慮してない。
今で言うただのストーカーでしかないのだが。




