私怨により髭撲滅3
建国記念英雄譚計画が決まったはいいのですが、私はこれでも王都治安と公爵家の仕事があるんですよね。
偉いからと、何もしてないわけではありません。
書類の精査とか、陳情きいたり、社交界で噂集めたり、不審な動きがないかみたりといろいろあるんです。
なかでもディアナちゃんとのふれあいは最高ランクのライフワークです。
だからこのプロジェクトには私の変わりに動いてくれる部下がいるんですが、
異世界文化を理解してない人達に説明するのって、文化のギャップがあって大変なのです。
どうするべきかと思ってるときに、執事のレファーソンさんからのお話がありました。
「だんな様、少々困ったことになりまして」
それはこの前に潰したテロ組織が、育成してた子供の話でした。
魔術の能力に長けた組織は、親子でテロ組織の構成員になるので、幼い子がいたりします。
その場合は親と離し、身分を変え、魔法力を封印し、修道院などで洗脳して普通の一般人に育成します。
しかし、この子供はどこからから攫われて人買いに売られた子供で、すごく高い魔道の力を持っていました。
反社会的な思想もないようですし、その能力も攻撃的な物でなく、錬金と土魔法なので、ここは育てて王国の役に立ってもらおうと思ったわけです。
本人も組織を嫌っていたそうですし、だから、公爵家の遠縁の貴族の家に子どもができないとのことなので、養子に出したわけですが、そこから逃げ出して公爵家に直談判に来たようなのです。
書類上のことで会ったことはないのですが、何を望んでいるんでしょうかね?
養子の家は一応貴族だし、そんな悪い家ではなかったはずです。
「まだ9歳だろう、それなのに、ここまでよくこれたものだ」
「旦那様を煩わすことなくこの件を処理したかったのですが、その子供が妙なことを口走りまして、未来が見えるとか、お嬢様が病気になるとか、罠ではないかと思い、一応拘束の上で眠らせておりますが」
なるほど私にサイコメトリーで、その子供がテロリストどもに洗脳された殺し屋でないか判断して欲しいわけですね。
すばらしい魔力を殺すのは惜しいし、もしその子の言うとうり先読みができるなら計り知れないものがありますからね。
うちのディアナが病気なんて聞き捨てならないに決まってます。ここは罠でもさぐりを入れたくなるのが、親の心情ですよね。
治安部の隔離された牢獄で子供は眠っていました。スリープの魔法のせいとはいえ、疲れもあるのでしょうね。
しかし、この世界は美形率がはんぱないですね。
黒髪に白い肌、整った顔つき、王家とはまた違った絶世の美少年です。
こう言う子が暗殺道具にされるのは嫌ですね。
サイコメトリーのついでにもし暗示にかかってるのなら操作してみますか?
私は子供の頭に手を置いて、記憶を読み取り始めました。9歳なんだから軽い軽い、、、、
「はあ?こ、、これって」
そこには驚く記憶が隠されていたのです。




