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はじまり
亀のようなのろさで更新します。ただし次回は今晩できたらやりたい。
男は嘆いていた。
自分には何の力もない。
寝台に横たわり命の火を失っていく妻を、ただ何もできずに見守ってるだけなのだ。
力があれば、いいや現在最高の医療や魔術も何もできないのだ。
男は自答した自分のような無能に何ができるのだと。
妻の手をこすり最後を引き延ばすが、だんだんとその身体から熱が失われつつあった。
焦燥にかられた男の耳に妻の声が聞こえた気がした。
青白い顔がかすかにこちらを見た気がしたのだ。
しかし、名前を呼べども彼女は応えなかった。
愛する者を失いつつある絶望が彼の心にある決意を促す。
どんなことをしても彼女を失うまいと決意を、、、。
そして、女は知るその先の未来を、死のふちに足をかけてやっと見えた未来。
死してなお人間はしばらく意志を保てると言う。
その刹那の瞬間に女は願った。
男と我が子を救いたいと、、。