クリスマススペシャルー楽器屋ー
注意
前回同様本編には関係ないです
「むぅ…」
カズヤは悩んでいた
目の前には、「クリスマス特価!」と書かれたギターが置いてある
値札を見れば、通常の値段の半分より安くなっていた
「買いたい…!けど、財布は…」
ズボンの後ろポケットに入れていた長財布を取り出す
その中には、ギリギリそのギターが買えるか買えないかくらいの値段が入っていた
「今月苦しいしなぁー…」
そう唸っていると、ふと声を掛けられた
「いらっしゃい、そのギター気になるかい?」
…
「なるほど、買うか買わないかで悩んでたのか」
レジのそばにあった椅子に腰掛けながら、人の良さそうな女性の店員はそれを聞いて何かを考えているようだ
「なにしろ今月は少し出費がでかくて…」
少し恥ずかしくなり、カズヤは目線を下げた
「君、音楽は好きかい?」
「へ?」
突然の問に、カズヤは驚いた
「いや、たまにいるんだ
カッコつけのためだけにギターを買って、ロクに手入れもせずにただ持ってるってやつがさ」
「は、はぁ…」
カズヤはどう返したらいいかわからず、曖昧に返した
「で、君は音楽は好き?」
再びの問に、カズヤは答えた
「大好きですね」
「じゃあ、あのギタータダで貸してあげるよ」
「…はい!?」
カズヤは驚いて、大きな声を上げた
「いやいやいやいや、貸すって、売り物でしょうあれ!?」
「まぁそうなんだけど…あのギターはちょっとね」
店員は少しため息をついた
「あれ、元は私のなんだ」
「え、そうなんですか?」
「うん、変えられる部品は全部新品にしてしまったけど」
店員は入り口近くの先ほどのギターを見ながら言った
「でもこの店を始めてから弾く時間もなくてね、いっそのこと売ってやろうってことであそこに置いてあるのさ」
「でも、それをなんで俺に?
しかも、貸すって…」
カズヤは疑問を投げかけてみた
「あのギターを見てる目が真剣だったから、かな」
店員は一呼吸おいた
「それと貸すって言うのは、料金は後払いってことさ」
「つまり、ツケとくってことですか?」
「そういう事だね」
店員は少し笑うと、ショーケースの鍵を持って入り口へ向かっていく
「大事にしてやってくれよ?」
…
「…なんてことあったの覚えてます?チホさん」
「あぁ、忘れてたな…」
(覚えていたのか、恥ずかしい…)
「料金、そろそろ払わないといけませんかね?」
「いや、もう払ってもらってるよ」
「毎月ここにきて、メンテナンスに出してるんだから」
誰書こうかな、って思ってパッと思いついたのがこの2人でした
2人には改めて感謝です