1/2
新居
百合が産まれたのは北海道の田舎町。パパはまだ宿舎から移る許可を与えられていないので、新しく建てたお家には、ママと百合で住んでいた。部屋は寝室と茶の間のシンプルな作り。茶の間には出窓があって、そこからは畑、いわゆる家庭菜園が見えていた。
そこには、枝豆、大根、人参など日々を賄えるくらいには収穫があった。
小さな植木鉢には、苺を植え、玄関先に並べていた。
まだまだぺいぺいでお給料が少ないパパは、副業として『カナリヤ』を増やす仕事もしていた。今で言うプリーダーだ。
百合は生まれてからずっと鳥たちと成長をして来た。