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第二十二話

番外編を別途纏めました!投稿後は割込み出来ないんですね……orz

てなわけで、移動してシリーズにしました。

移動に伴い話数についていた感想が消えてしまったことに気づいた今

ごめんなさいぃいいいいいい!!(土下座)


番外編はこちら

https://ncode.syosetu.com/n7245gk/


「お~」

 前回あった壁は失せ、森の中へと一歩踏み出す。

 想像通り、ふかふかした苔の感触は心地よく裸足になって歩きたいほどだった。つい、手のひらで感触を試してしまうのも仕方ないだろう。木々の隙間から零れ落ちる光も穏やかで森林浴通り越して昼寝したい。

 仲良くなった獣人の門番からは妖精の住まう森とだけは聞いている。ただ、何故だろう……その話をするときの門番は今にも唸りそうなほど眉間に皺を寄せていたのだ。

 NPCにさえあの表情をさせるとはここの妖精はどんな存在なのだろうか。会う前から嫌な予感しかしない。


 きっと生態系は異なるのだろうが、前の小さな森と同じくここでも鳥のような鳴き声は変わらず聞こえ、癒し効果に満ち溢れている。時折鳥の声が近くなるとあえてそっちの方面は向かないようにしている佐久弥だ。貴重な癒しはそのままでいてほしいのだ。


「う……」

 木々の香りに満ちていたところに、胃の内容物が込み上げてしまいそうな悪臭が突然(ただよ)う。ラフレシアのような植物でも生えているのだろうかと、口元を抑えながら匂いの元へと向かう。

(これか、元凶は)

 遠目にも目立つ蛍光ピンクの巨大花。水玉ではなく、ストライプ上に黒い筋が入っていてやたらと派手だ。中央にはラフレシアのようにぽっかりと空洞があるのではなく、巨大な花芯が見える。自分の知る範囲では採取できる素材の中にこういった見た目のものはなかった気がするが、そのまま近寄って観察してみる。

 花芯の部分はおしべなのかめしべなのか判別できないが、やたらと巨大だ。野菜や果実が危険な世界だから、他の植物も危険かもしれないと(つる)などが無いことを確認しつつあと一歩の距離まで近寄り立ち止まる

「……何でそうなった」

 立ち止まると同時に、くるりとその花芯が振り返る。そう、振り返ったのだ。

「さぁ、受粉してくれ……」

 モアイが低い声で嬉々として告げる。

 お前がめしべかよ!と反射的につっこみつつ、花粉など持っていないことを伝えると、悲しげな口調になる。

「そうか……このまま受粉されることなく、命を繋ぐこともできず無駄死にするのか我は。いや、いいのだ。この森の中次に他者と遭遇できることはないだろう。種として何の役に立たなくても森の養分程度にはなれるのなら悔いは……悔いは、ない」

 悲痛な声でそう告げられると、何も悪いことをしていないのに罪悪感に(むしば)まれる。

「あ~花粉はどうやって手にいればいいんだ?」

「何、手に入れてくれるのか!なんと心優しき若者か!この邂逅に感謝する!」

(調子がいいな、こいつ)

 口元がひきつるのも仕方ない。モアイの背後がやたらとキラキラしていて光を背負っているかのようだ。先ほどの打ちひしがれていた姿はどこいった。

「何、簡単だ。この森の中央に妖精の住まう里がある。そこでは数多くの同胞(どうほう)が居候させてもらっている。そこで受け取ってもらえばいい。できれば一番の美形のものだといいな。いや、贅沢は言わん。二番でも、三番でも……」

 てれてれしながらも、言ってることはかなり我儘なんだがこのモアイ。結局上位3株のうちがいいってことじゃないか。

「……美形の基準は何だ」

(かんば)しい香りだ!」

「わからん!」

 即答だ。獣人の雌雄も判らない自分が判別できるとも思えない。

「そうか、不自由だな人間というものは……そんなので生きていけるのか?」

 タコにも吸盤が無いことで憐れまれたが、植物にまで憐れまれてしまった。何だか人間という存在が否定されているのでは無かろうかこの世界。

「そうか、なら花びらが、ここだ。ここの色と同じようだと良い」

「……他とまったく同じ色に見えるが」

 どこからどう見ても蛍光ピンク。ほかのピンクとの違いが判らない。

「我は色鮮やかだろう?」

 不思議そうに問いかけられ、確かに鮮やかではあるので頷く。

「ああ、二色だが、かなり目に鮮やかだ」

 そう、痛いほどに。

 普通に返したはずなのに何故だ。目の前のモアイが驚きをあらわにしている。

「…………十色はあるのだが」

 長い沈黙の後に告げられた言葉に、無言になる。人間の可視できる領域をこしているというのか。

「すまない。とにかく健康そうな花粉を持ってくる。美的感覚に(うと)くてな。諦めてくれ」

「そうか……それでも、かまわない。独りのままより、まし、か……」

 妥協してもらうしかない。

「とりあえず行ってくる」

「頼む。無理を言ってすまないな」

 ここまで精神的負担を与えておきながら、最後は殊勝な言葉で送り出すとは卑怯な。これではどうにか好みの花粉を選んでやりたくなるじゃないか。


 すがるような視線を背に、佐久弥は森の中央へと向けて歩き出し――ふと気付く。

(初めての頼まれごと……?)

 依頼されて何かを行うことはこれが初めて。と、いう事は――。


「俺の初クエストは、植物から!?」



妖精編始動しました!……妖精、出てないけど(・ω・)

実は一瞬だけ出て受粉のセリフだけで終わる予定だったのに

ドウシテコウナッタ

この話モアイだけで終わったYO!


※前書きに番外編URL追記しました。現在ハロウィン2話分の移動のみ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] なんかカオス過ぎて面白いのかどうかもよく分からないまま一気読みしました(面白かったです!)
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